年末に山中一毅のライブを見に行った時に演奏されていたベースの御方が、ほぼ生音なのに極めてぶっとい音を出していらっしゃいました。
恐らく一般人はおろか、ベーシスト以外のジャズメンですら、たいがい
ウッドベースの音なんて全部一緒やろ
と思っているとは思うのですが、私にとっては死活問題。その方の音は、最近聴いた中でもナンバーワンに好きな音色を放っておられました。ただ音がデカイのではなく、太くて重い音でした。
そこで終演後、私は恐る恐る秘訣をお聞きしました。
池尻洋史さんというベーシストで、ちょっとお話したらいきなり「弾いてみる?」と声をかけて頂く。非常にきさくであると同時に、人の心を読むことにも長けているようです。
なんかねー、俺の楽器と全然違う。まずびっくりしたのが弦のテンションの柔らかさ。そしてやっぱ音量がデカい。そして芯のある豊かな音。なんじゃこりゃ。本音をいうと、俺の楽器ってなんやねん…とテンション下がってしまった。
弦高は、俺の楽器と同じくらい。どうしてこんなにテンションが柔らかいのかを聞いたところ、
ソロチューニングの弦を使っている
とのアドバイスを頂く。
ソロチューニング?なんじゃそら。
どうやら、コントラバスで独奏する時のために、それぞれの弦を全音上げてチューニングする弦が存在するらしい。上からA-E-B-F#(Fis)となる。変な感じ。で、その弦を本来の全音下で貼れば、テンションが柔らかくなるという理屈です。オケやってる人は知ってるんですかね?俺は知りませんでした。ちなみにロカビリーやる人もこのテクを使うらしいです。
まさに神の啓示。さっそく試してみよう。
ということで、年末の会社忘年会用に演奏することが決まっていたので、早速ソロチューニング弦に張り替えました。
どうやらこのブログの過去記事によると、前回弦を変えたのが2010年6月のようで、5年半も変えてなかったようです。ブログやってるとこういう時に便利です。ちなみに私はその間に転職をしました。
その時張り替えたのは、ダダリオ・ヘリコアのハイブリットのライト(バイヒ)。とにかく弦のテンションを弱めたいという意図からの選択でした。
んで今回、スピロコアとダダリオのどっちにしようかなーと10分くらい悩みましたが、同じブランドで前後比較をした方が効果を感じやすいのでは、ということでダダリオに決定。なお、池尻さんはスピロコアでした。
購入は最も低価格で弦を提供されていたウッドベースドットジェーピーさんにて。個人でやられているのかしら?メールの応答もめちゃくちゃ早くて、注文から2日か3日後くらいには到着。ありがとうございます。
じゃーん。やっぱパッケージがダセぇ。
おおっ、1弦なのにAと書いてある。不思議。
駒の位置に印をつけます。建築学生時代の名残でマスキングテープを所持していますが、この工程でしか使用しません。
弾いてみた
あんまり差を感じませんでした。
恐らくですが、前の弦が伸び切ってダルダルになっていたのかなと。5年半も張り続けていたからね…。ただ、まだまともな環境で音出せてないので、スタジオ入ったら何か分かるかもです。
2020年更新。
その後オケに入団して他の3本の楽器と弾き比べた所、明らかに他の楽器に比べてテンションが柔らかいと感じました。
自宅のようなデッドな音響では差を感じませんでしたが、なかなか良いです。
以後もソロチューニングの弦を続けようかと思います。
これはかなり気になる話題ですね…!
毎日コントラバスに触るようにしてるのですがそれでもいまだに指いてえ!ってなります
匿名さん
今張っていらっしゃる弦によっては、絶対効果があると思いますので是非試してみてください!
弦のテンションがキツイと楽器を締め付ける感じとなるようで、
音量は抑制的な傾向かと思います。
反対にテンションが緩めでは、
より自由に楽器が鳴りやすくなるようで、音量がアップする傾向があるようです。
同じダダリオの鉄芯弦のヘリコアのハイブリッドと
化学繊維芯弦のザイエックスとでは
ザイエックス(テンション緩め?)の方が明らかに音量が有り倍音も豊かに感じます。
構造的には両者にあまり差異はなく芯弦の材質を変えた物かと思います。
(どちらも数回づつ破断を経験しまして、その破断面を観察した限り)
たぬきさん、毎度ありがとうございます。
たしかに、テンションと音の響きについてはおっしゃる通りの実感を私も持っています。
エイザックスはかねてより試してみたい弦でしたが、今回はソロチューニングの効果を知りたかったので、ヘリコアとしました。
次回はエイザックス試してみようと思います。
よくあるサイズのハコ(ライブハウスやらカフェレストラン他)では
コントラバス本体の音量が意外とあります(コンサートホールでのオーケストラを想起すると30~40人程度ではコントラバスは一人ないしは二人で十分です)から、
アンプはその音圧の補助とサウンド(抜け)の補完的に運用している場合がほとんどかと思います。
具体的にはアンプはコントラバス本体と同等ぐらいな音量 バランスが何かと幸せな環境かと思います
客席では朗々とベース音が響いている。
ただ、低音の周波数特性~こんな場合でも演奏者自身や共演者の立ち位置ではかなり寒い(ベース音が聴き取りにくい)状態かもしれません。
(演奏者にベース音が良く聞こえる場合(アンプ等)は客席では音量が有りすぎの可能性が大)
別件では、楽器のならし方の問題が大きいかと思います。
表板を良く振動さすと迫力のあるボン!見たいななり方をして傍なりはしますが、抜けて行かない場合がほとんど。
裏板を意識的に鳴らすようにすれば、締まりのあるドゥィーンと言うようななり方で遠鳴りする傾向。
この場合、迫力は今一かつ傍なりはしませんが楽器全体が効率的に鳴る為か
意外と客席ではクリアかつブットイベース音に聞こえるようです。
因みに、あわせてピックアップ乗りも良く鳴るかもしれません。
ヒントは、ピッキングの入力方向(→と↓(ヽ))の違い。
リラックス(脱力)した状態でピッキングスピードをMAXで。
弦に触れる時間を刹那(瞬間より更に短い時間単位)にミニマムに。
独学でコントラバスをしています。
私のは弦高が高めのため、右手に意識が持っていかれストレスで演奏中リラックスすることができません。(練習不足もありますが)
最近、ソロ弦オーケストラチューニングに移行したい欲がすごくて色々検索してこちらにたどり着きました。
勇気をもってソロ弦に変えてみたいと思いました。
miygiさん、コメントありがとうございます!
そのストレス、よく分かります。仲良くなるのに時間がかかる楽器だなと日々痛感するものです。
弦交換、お値段的に勇気がいりますが、いい選択となるようお祈り申し上げます。
なお一点だけ補足を。テンションを下げる目的であれば、ソロチューニングに交換するよりも、駒を削って弦高を下げる方がやはり効果の軍配は上がるかと思います。1mm削るだけでも体感が相当変わるイメージです。
もし環境が許せばそういう選択肢を視野にいれつつ、素敵なコンディションを手に入れるよう検討して頂ければと思います!