夏と冬でウッドベースの弦高は変わるとは言われていますが、夏の方が高いという説と冬のほうが高いという説、両方見かけます。自分は、夏に熱膨張によって楽器全体のサイズが大きくなり結果として弦高も上がる、という説を有力視している者です。
さて自分の楽器、5年前の冬に測った時の記録によると弦高は以下のようでした。
G線→E線に向かって 1.5mm 3mm 4mm 5mm
だいぶペタペタです。
そして去年、オーケストラにチャレンジするにあたり弓の弾きやすさを得るためにかなり弦高を上げました。が、その時の弦高を測っていませんでした。
ウッドベースにおける弦高の基準とは
さてGWも明けて半袖でも過ごしやすい気候になった5月、改めて弦高を調べてみるとこうなっていました。
G線→E線に向かって 5.5mm 8mm 9mm 11mm
ジャズ畑のベースとしては相当高い部類かと思われます。
なんですが、そこまで弾きづらさは感じません。
7年前はこれよりも低いセッティングですら「もう無理だ」とヒーヒー言っていたのに、なぜでしょうか。
ヒーヒー言ってた時の記事↓
最近、コロナの副産物として家で演奏フォームを研究するのが趣味化しており、脱力して弾くコツが見つかったおかげかも知れません。
もしくは、楽器の別の場所、例えばネックの反りが変化しただけかもしれません。
ちなみにアジャスターはこんな状態です。かなりバランス悪いです。特にG線側の浮かせっぷりは半端ではなく、これでボディに振動が伝わるのか疑問です。
どうも駒の削り方が極端だったらしく、こうしないと弦の高さが揃いません。これを改善するには駒の交換が必要ですが、面倒なので放置しています。
さてこれを下げてやろうと思うのですが、どれくらい下げたらいいのでしょうか。
このウッドベースという楽器、世の中に弦高の基準値という情報がほとんど存在しません。
そのサイズゆえに個体差がありすぎて、弦長、ネックの長さ・取り付け角度・反り具合、ボディの膨らみ具合など、変数が多すぎて、弦高だけ比較しても弾きやすさの基準にならないからだと自分は考えています。
なので、せめて自分の楽器くらいは定期的に記録しておいて、この基準が作れたらいいかなぁと思う次第です。
弦高を下げてみた
という事でアジャスターを適当に回して、こんな感じになりました。
〜2020年初夏バージョン〜
G線→E線に向かって 4mm 6mm 7.5mm 9mm
E線側は限界まで下げ、G線側は相変わらず浮かせています。
- 劇的に弾きやすくなる。弦高を下げる度にいつも感動する。いつまでたっても学習しない。
- G線の低さに違和感。右手の指がピッキングする度に指板にバコバコぶつかる。これは最近特訓中の脱力フォームで解決できると思う。たかが1.5mm下げるだけでここまでコンディション下がるかとビックリ。
- 音質が変わる。今回確信しました。
弦高が変わればサウンドが変わる
今回Before/Afterで録音したら、確かに変化を感じました。これは別の記事で説明することにします。
アジャスターの回転方向
アジャスターをいじる時に毎回忘れてしまう自分のために、回転方向と上下の関係を図示しておきます。
なおアジャスターの取り付け方が逆の楽器の場合は回転向きが逆になるかと思われますのでご注意。
著名人による言及
2020年5月29日追記
Christian McBride氏が教則ビデオで弦高に少し触れていました。
0:30くらいで「9mmか10mmだろう」とのこと。
さすが。高い。
弦高には2つあります。
一般に言う、弦高は指板と弦のクリアランスの事。
もう一つは、
表板から駒のトップ迄の絶対高さ。じつはコチラの方が重要。
指板上の弦高(クリアランス)を適正にした場合に、有る数値の範囲内に収まる事が肝要で、もし、その範疇から外れている場合にはネックの角度を調整する(ネックを外して角度調整をする)必要があるとか?
反対に、指板上の弦高(クリアランス)が数ミリのベタベタでも、駒の絶対高さが十分(≠ネックの角度がキツめ?)なら楽器はしっかり鳴る理屈。
それで、
冬場、気温が低いとボディーが動いて見かけ上、ボディーと指板の距離が増える傾向。
アジャスターがある場合は出代を増加させる必要があります
夏場、気温が高いと、冬場の反対の現象となり、アジャスターの出代は少なくしないといけません?
稀に余り変化の無い楽器もありますが、基本的には同じ傾向。
このボディーの変位量が許容範囲を超えると割れや剥がれ等の故障と成ります。
特にフラットバックの楽器は裏板に頑丈な板がある為、急な変位をいなす事ができ難い為に故障率が高めです。
(夏場なら灼熱、高湿度の外界からエアコン/クーラーがバリバリ効いたキンキン冷えて湿度が低いの室内に入ったり、その逆等も楽器にはデンジャラス)
駒の両脚のアジャスターの高さ/出代が極端に異なると、響き/鳴りが悪くなるのと併せて、両手に感じる感触が硬くなるかもしれません。
ボクの楽器の場合がそうですから、他でも同じ傾向が有るかと思います。
両脚のアジャスターの出代を揃えてから再度、弦高(指板とのクリアランス)をチェックして
、各弦のクリアランス(弦高い)が極端に異なる場合は駒の頭のカーブの調整ほか(削り直し)が必要です。
G弦の弦高が例えば5ミリだったらそれからそれぞれ+1ミリづつ数値が大きくなるのが一般的。
故に、ジャズのモダンピチカートがメインなら(例)G=5ミリ D=6ミリ A=7ミリ E=8ミリ
こんな感じ。もう一ミリ(弱)づつ下げても良いかもしれませんが
弦高が極端に低いと今度はピチカートのやり方をかえる必要が出て来るかもしれません?
弓奏(オーケストラ)がメインなら上記から1ミリづつ増やす位(G弦で6〜7ミリ位)が弾きやすいかもしれません
参考まで。
たぬきさん
仰る通り、指板から弦の距離よりもボディから弦の高さ(ネックの角度が影響)が弦そのもののテンションに影響しますね。
この話は左手と右手でまた意味が違うのでややこしいところです。
私事。
今回ちょっと久しぶりにコントラバスの弦を張り替えました。
近年はダダリオのザイエックスで固定していますが、
テンションはライトにしたり、ミディアムだったり、、、
で今回はライトテンションにしました。
それで、合計の弦のテンションがいくら位か気になってパッケージの(ガラパゴスな)ポンド表記(アメリカですから) を国際SI規格に換算してみました。
(Lbs.(ポンド)表記×45%= kg.)
結果?は、約110kg.
ザイエックスのミディアムだと、約115kg.
それで、以前長年使っていたオブリガートが、
ゆるゆるの独特の感触に反して116Kg.
これは意外でした。
また、ジャズ等の定番、スピロコアのミディアムが、何と、約126kg.
細身のグリップネックの楽器は注意が必要かも?
楽器系の記事を楽しく拝読しております。
弦高についてのマクブライドは、0.9〜1.0センチと言っていますね。
バークリーで学んだ私の師は、マクブライドは音の印象よりもずっと弦高は低い、とコメントしていました。
また、楽器やスタイルにもよるがジャズではG線5mmが大まかな基準であり、DAEに向かって1mmずつ高くなるようなセッティングが一般的といってもいいだろう、とのことでした。
6mmではやや高く、7mmでは高すぎるとのこと。※ただしガット弦は別
弦談義はベーシストには飽きない楽しい話題です。