覚えづらいジャズ的コードの再学習 – 俺向け音楽理論その2

自分に抜けている音楽理論の穴を都合よく埋めるべく始めた連載の第2回です。第1回の記事を書いた際にそもそも記事を書く過程自体が記憶の定着に役立つことが分かったので、調子に乗って恥を晒します。

今回はうろ覚えのコードの構成音を復習します。が、まともにジャズやってる方からしたらドン引きすような内容になっていると思われます。昔バンドやってた仲間に見つからないことを祈るばかりです。

前提

□m7♭5 のように表記自体に構成音が示されているコードはさすがに私でも分かるので割愛します。ということでここでは固有の名前がついているコードのみを対象とします。
取り上げるのはハーフディミニッシュ、ディミニッシュ、セブンスサスフォーの3つです。あと付録としてテンションとアッパーストラクチャートライアドに軽く触れます。

1. ハーフディミニッシュ

英語ではHarf-diminieshed chord。要するに□m7♭5の事で、恐らくですがジャズであまりに頻出するコードなので略表記φ(ファイ)が使われるようになったのではないでしょうか。

notes of half-diminished chord

構成音はこうなっております。よくお世話になる□m7に対して、Vが♭するだけです。簡単。結果として♭するIII♭、V♭、VII♭の3音はブルーノートと呼ばれますね。
幼き日の私はこのコードが出てくると「えーい、とりあえずマイナー系」くらいに捉えていました。愚かですみません。

ベース指板ではこういう位置関係になります。

half-diminished chord notes on the bass fingerboard
上と全く同じ話をしますが、弾きなれたマイナーセブンスの5度を♭すればいいだけなので、これを暗記するというよりは使い所で5度をクイッと下げれば対応できるものと思われます。

頻度が高いわりにお手軽なのでコスパが高い気がします。

代理コードとして

本稿ではさらりと触れるに留めますが、VIIφはV9のルート音を省略したコードと全く同じ構成音を持ち、ドミナントセブンスの代理コードとして使われるようです。

V7もVIIφもメジャースケールのダイアトニックコードなので(これはちゃんと覚えている)、構成音が似ていることは想像がつきます。

2. ディミニッシュ

英語ではDiminished Chord。ちなみにdiminishは「減少する」という意味らしいです。Half-diminishedと比較の観点からFully-diminishedと呼ばれることもあるとか。

notes of diminished chord
構成音。7thに2個も♭がついているので「フルに減少している」という解釈でいいのでしょうか。ハーフディミニッシュとの差は4音目がさらに半音下がっているだけです。結果としてVIの音が現れます。
略表記として「◯(まる)」を使います。

なおベーシスト的には「とにかくminor 3rdを積み上げる」と覚えた方が楽ちんだと思われます。指板での位置関係はこうなります。
diminished chord notes on the bass fingerboard
図形として覚えやすいです。1つのコードの中にトライトーン(増4度音程)が2つも含まれているのが直感的に分かります。

3種類しかない

これも上記の指板から分かることですが、ディミニッシュコードは1音半(3半音)上げると全く同じ構成音になります。そのため構成音の種類が、半音上げたもの、2半音上げたもの、それと元のものを含めて3種類しか存在しません。

  • Cdim = E♭dim = G♭dim = Adim
  • D♭dim = Edim = Gdim = B♭dim
  • Ddim = Fdim = A♭dim = Bdim

dimとdim7の違い

厳密には前者が3和音コード、後者が4和音コードを指しますが、ジャズではdim表記でもdim7表記でも4和音として扱うようです。

3. セブンスサスフォー

私は愚かだったので、□7sus4と見れば「とにかく4度を強調するのである」くらいの解釈でしかおりませんでした。


この場で、7thも♭していることを改めて確認した次第です。まぁコード表記が「C7」 + 「sus4」となっているので、ちょっと考えたら自明な気がします。
なお sus は suspended = 吊るす、の略。3rdを吊るして4thに上げているという意味らしいです。

トライトーンが無いのが特徴

多くのコードの中にあってもsus4はすごく特徴的なサウンドをするコードだと思っていますが、構成音の観点からするとドミナントだけどもトライトーンが含まれていないという、言ってしまえば中途半端なポジションでありそれがこのコードのキャラクターを決めているようです。

4. テンション

テンションはまた別の記事を設けようと思いますので、ここではコードに対応して使えるテンションが異なるよ、ということだけさらりと触れておきます。

コード 6th 9th 11th 13th
メジャーコード 6 9 #11 >-
マイナーコード 9 11 13
ドミナントセブンス ♭9, 9, #9 11, #11 ♭13, 13

上記の表は以下の「参考文献」で紹介するウェブサイト「ジャズピアノの弾き方 コード」からほぼ写させて頂いております。

5. アッパーストラクチャートライアド

あるコードに対してさらに3和音(トライアド)を加える手法のこと。恐らく「テンションをいっぱいつけて豪華にしました」という発想の末に生まれた概念であるように思われます。C7(9, #11, 13)みたいなゴツい表記になり、今の私にはまだこれを追いかける余裕が無いのでここでは用語紹介で済まします。

参考文献