会社の軽音部のイベントでミシェルカミロとペトルチアーニを演奏してきた

1日以内

昨年の年末、会社の同僚にバンドやらないかと誘われ、特に何も考えず「いいですよ」と答えました。
その後、チャットに貼られていた以下の課題曲を聴きました。

Bite / Michel Petrucciani
From Within / Michel Camilo

これはえらい事になったと思いました。2曲それぞれに別の難しさがあります。
1曲目のBiteは、フレーズはシンプルながら、このテンポでのグルーヴ感のキープは至難の業な気がします。というか本人達がけっこうズレている気がします。
2曲目のFrom Withinは、曲そのものを弾けるようになるのかが怪しいです。

本番までの準備期間は2ヶ月ちょい。
ピアノの方はそもそも首謀者だから弾ける自信があるんだろうし、ドラムの方(初対面)は「分かりましたー」みたいなノリで返事してるし、もしかしたら私だけ追いつけていないみたいな未来があり得るんじゃないか、リハーサルの度に謝罪してスタジオを氷河期のように冷え込ませる事になるかもしれない、みたいな想像に突き動かされるがままに、必死に練習しました。それは練習というよりも修行と呼んだ方が適切な時間でもありました。私の可処分時間のほとんどはこの曲の練習に費やしたと思います。ベッドでYouTubeをだらだら観る時間以外は。

そしたら、なんとかなりました。
最初のリハの一発目で曲が通った時の安堵感と手応えはいまだに忘れられません。ベーシストとしての自分に対する期待値などとっくにゼロだったのですが、もう少し自信を持ってもいいのかな、と思えたりしました。

なおこの間にAnthony Jacksonの訃報が届き、少し運命めいたものを感じました。

会社の軽音部イベントに出ました

そもそもこのバンドは会社の軽音部の定例イベントに出るために結成されたもので、先日、本番を終えました。

10バンド以上が集まって、持ち時間15分をひたすら回す、事前リハ無し。と、大学の軽音サークルの合宿を思い出すようなイベントで、懐かしい気持ちになりました。

すごい集客力です

ジャズ研ではなく軽音部なので、他のバンドはNirvanaやJudy and Maryなどのコピバンです。そして私たちがやるのはMichel CamiloとPetruccianiのコピバンです。それをコピバンと呼ぶのかは怪しいですが、聴衆からはぽかーんとドン引きされることを想像して演奏したところ、皆さんから好意的に捉えて頂いたようで、良かったです。

さてここで、悩みというか相談を吐露しておきます。

楽屋でウォーミングアップ中に、複数人の方から「ろ、6弦ベースですか!」と声をかけられるイベントを10年以上振りに経験しました。

基本的にコミュ障である私ができる返事は「ええ、はい。まぁ…」くらいなもので、その場を盛り上げる事ができず地獄のような時間を提供してしまいます。あれ、どう答えるのがベストアンサーなんでしょうか。誰か教えてください。

今日の機材

Anthony Jackson役をやるため、数年ぶりにYAMAHAの6弦ベースTRB-JP2をケースから出して稼働する事になりました。Fenderの4弦ジャズベースを買ってから「もう6弦は弾くことは無いだろう。今までありがとう」と思っていたのですが、すぐ再会する事になりました。

全然綺麗に撮れませんでした

とりあえず売らないで良かった、と思いました。
(ちなみに当時30万円で買ったこの楽器、現在の価格は50万円を超えています)

ペダルはBBE Opto Stomp(コンプ)と、Freedom Custom Guitar ResearchのQuad Sound Bass Preamp(プリアンプ)の2つ。

全然綺麗に撮れませんでした

「とりあえずかけとけ」の精神でお守り同然に常備しているActiveSpiceは、今回は使いませんでした。ベース本体(TRB-JP2)のトーンツマミがアホみたいに効くので、バキッとした成分もモコっとした成分も手元で調整できてしまい、私がActiveSpiceに求める役割が被るからです。
その替わりに、純粋なコンプとしてOpto Stompを持って来ました。

そしてベースのサウンドメイクの最大のポイントは、昨年末からトライしているベースアンプを使わない作戦です。ベースアンプからは音を出さず、DI経由からミキサーに送った音をモニタースピーカーだけで返してもらいます。本番で実行するのは今回が2回目。
恐る恐るPAの方に伝えると、「はぁ…」と怪訝な顔をされました。すみません。

そしたら音が出ないと。信号が来てないよ、と。
焦っていろいろ繋ぎ直す中で、Opto Stomp(コンプ)が死んでる事が判明しました。多分、電池切れです。私は以前も本番で同じ事をしました。成長していません。

とはいえ電池が切れたのがコンプの方で良かったです。ベースアンプを使わないので、プリアンプが無いとイコライジングができませんからね。という事で、本番は結局プリアンプだけで挑む事になりました。

演奏の出来

いつもは思った事をだらだら書くところなのですが、今回からちゃんと評価項目に従って振り返るようにしてみます。2026年は何かが違います。

首謀者のピアノと激うまドラマー

音作り編

  • ベース単体のサウンドメイク: ★★★☆☆
    • 及第点です。ベースアンプを使わないので、「アンプの癖に振り回さられる」という煩わしさから解放されています。スタジオ練もミキサー直でスピーカーからベース音を出していますが、それに近しい音がすぐ得られたのはポイントが高いです
    • プリアンプでもう少しシャキッとした音に調整したかったのが本音ですが、事前リハ時間がほぼゼロの環境の割にはやりやすいサウンドが作れた事をむしろ評価したいと思います
    • しかし、この記事を書いている今になって、ベース本体のトーンツマミで調整すれば良かった事に気付き、深く反省しているところです
  • バンドの中音: ★★★★☆
    • 良かったです。ベースアンプを使わない最大の目的が中音のクリアさにあります。ベースアンプとモニタースピーカー、異なるキャラクターの音をステージ上で混ぜる事がアンサンブルの濁りの原因のひとつと考えており、スピーカー1本に絞る事で意図通りの結果を得られました
    • 3人の音が聞き取りやすい環境で、やりやすかったです
    • まぁ、そもそもトリオなので音が少ないよね、という話もありますが
  • バンドの外音: ★★☆☆☆
    • 向上の余地ありです。ピアノの低音とベースがものすごくぶつかります。ピアノがゴーン!ベースがドーン!と同時に音を出した時の衝撃と迫力が、悪い意味でえらい事になっています
    • これは間違いなくピアノとベースを同時にPAで混ぜている事が原因なのですが、さてどう解決しましょうか。PAさんに頼んでピアノの低音をカットしてもらうのも申し訳ないので、ベースの音作りで解決しようと思います

パフォーマンス編

  • 自分の演奏フォーム: ★★★
    • 基礎練の成果は一定発揮できたと思います。自宅練習に比べて本番でつい力んでしまう癖からは脱却出来ています。そのおかげで「練習で弾けたはずのフレーズが本番でもつれる」という事はありませんでした
    • しかし、左手の押弦のタイトさ、および、右手のピッキング感覚の研ぎ澄まし具合はまだ体に染み付いてないと感じました。あと猫背も要矯正です
  • 本番での集中度: ★★★
    • 及第点です。ランスルーを何度も何度もして曲構成が完璧に頭に入っていたので大きなミスはありませんでした
    • 加えて、他の2人の音もちゃんと耳に入ってくる環境だったので、変な自意識に囚われる事なく、広い視野でアンサンブルに集中できた感があります
    • …と書くと、★を4つつけても良い気がしますが、残りの人生で「全集中力を使い切る」くらいの本番を迎えたいと思っているので、採点基準は厳しくしています
  • バンド総評: ★★★★☆
    • 基準以上のパフォーマンスはできたと思います。やったった感はありました
    • だからこそなのかもしれませんが、この3人ならもっと高いところに行ける気もしました。スタジオ練で出なかった境地、脳の血管が切れて邪念が全て吹っ飛ぶような瞬間を味わってみたいところです。ので満点にはしない事にします

課題もありつつ、総じてで言えば、久しぶりに「ステップが1つ上がった」実感があり、印象的な本番となりました。他の2人に感謝です。

子守をしました

自分の本番は早々に終わったので、あとは気軽なものです。

そんな中、10年以上前にとあるライブで一緒に演奏したボーカルの方と再会しました。再会した事もびっくりなんですが、それよりも、よく考えたら同僚である事が驚きです。こんな事あるんですね。しかも入社時期が自分とほとんど同じだったようで、5年間もお互い気付いていませんでした。

その方の本番中に、連れてきたお子さんが不安だという事で、私がお守りをする事になりました。私をひと目見た赤ん坊が泣き出すというエピソードを複数件持つ私に、子守を依頼して来たのはこの方が初めてです。

ぐうかわ

ママが1曲歌い上げた後に、「なんの曲?」とつぶやいたのがおもしろかったです。

このバンドの今後

練習から本番までの期間が本当に楽しかったです。私にとっては「魔法のような時間」と言っても差し支えないものでした。

演奏スキルがある程度近しく、音楽の共通言語も豊富で、なんというか距離感がちょうど良い3人が偶然出会った、というミラクル感があります。誰からともなく「続けましょうよ」という話が発生しているので、似た感覚を持ったのは私だけでは無いと思います。知らんけど。

あと、実はあまり好みじゃなかったMichel CamiloとAnthony Jacksonが好きになれた事も自分にとっての大きな変化でした。特にAnthony Jacksonのベースプレイは心の底から「かっこ良すぎる…」と思えるようになりました。申し訳ない事に、これまでは良さが分かっていませんでした。

この難度の曲に毎回トライするのは心身が持たないので選曲はお手柔らかにしつつ、何かしら続けていければ最高です。