ウォーキングベースライン研究その1. “Lotus Blossom” by ポール・チェンバース

3ヵ月以内

ジャズバンドをやらなくなってしばらく経ったのですが、なぜか急にここ10年くらいやってなかったウォーキングラインを耳コピしようと思いたち、やってみました。

第1回目として選んだのは、Kenny Dorham の”Lotus Blossom”。ベーシストは俺の中での「キングオブウォーキングベース」のポール・チェンバース。

どうでもいいですが、全く同じタイトルのスタンダードをビリー・ストレイホーンが作曲していて、ややこしい。両方いい曲なんですが。iReal Bookに載ってるのはストレイホーンのほう。

耳コピしました

テーマとドラムのバースソロを省いた、ソロまわしの5コーラス分を採譜しました。ケニードーハムのトランペット3コーラス、トミーフラナガンのピアノ2コーラスです。





採譜について一部怪しいところがありますが、「だいたい合ってるだろう」くらいのラインでよしとしています。よしとして下さい。

ちょっとした研究

コードの知識が浅いことがバレそうですが、私なりに分析してみました。

1音目がルート音じゃない小節が多い

ベーシストにとってバッキングのセオリーとして「コード変化の1音目はルート音」というのがあります。が、コピーしてみて思ったのは、ポールチェンバース、意外とこのセオリーを外すことが多いように思われます。

ということで集計してみました。「1音目がコードのルート音じゃなかった回数」を、5コーラス分集計したものです。

上記のコード進行に即すと1コーラスあたり34回のコード変化があります。5コーラスで170回です。で、この表を数えたら合計83回になりましたので、なんとほぼ2小節に1回ルート音を外しているようです。いや正直、ここまで高頻度とは思いませんでした。

すごく分かりやすいところでいうと、1コーラス中3箇所あるDm7が2小節続くところ。AABAで言うAの冒頭2小節ですね。この2小節目の1音目が、全てのコーラスで執拗にFから始まっています。
もう1箇所、Dm7が2小節続くのが15-16小節目にありますが、ここでは同じアプローチをとっているわけではありません。この差はおもしろいですね。

じゃあ何の音に外しているのか

次に気になったところとして、ルート音から外すとしてどこに外しているのか、これも集計してみました。ちなみにこれ数えるだけで30分以上かかりました。

音価 回数 発生率
1st 87回 50.6%
2nd 1回 0.6%
3rd 42回 24.4%
4th 4回 2.3%
5th 32回 18.6%
6th 2回 1.2%
7th 2回 1.2%
合計 170回 100.0%

となりました。なんという3rdの多さでしょう。まさか5thより多いとは思いませんでした。私、1音目にそんなに3rdを選んだことないのですが、ちょっと人生観が変わる思いです。次回から果敢に3rdを狙って行こうと思います。もうジャズバンドやってないけど。

特に圧巻なのは、3コーラス目の最後の3段。ほとんど3rd始まりのフレージングで、俺だったら頭がこんがらがります。

ということで、こんな簡単な分析でも意外に発見がありました。これは、他の曲でのポールチェンバースのプレイを分析したくなってきましたねぇ。コード進行がそうさせているのか、はたまたポールのプレイスタイルによるものなのか。

高音が少ない

これも意外でしたが、あんまり高音を使っていないようです。
ということで、次に各小節において「C3(G線5フレット)よりも高い音を弾いた数」を5コーラス分、集計してみました。各小節の最大値は4音×5コーラス = 20音となります。

AABAのBで如実に盛り上がってるのが分かりますね。
一方で、16小節(ちょうど半分)はゼロなので、だいたいはハーフポジション〜第1ポジションでケリをつけているのだと思われます。使っている音数はけっこう限られるはずなのですが、それでいて多彩なラインを弾きこなすポールは、さすが時代を代表するベーシストであると思わされます。

頻出フレーズ

天才ジャコパストリアスでも手グセフレーズを随所で聴くように、ベーシストにはだいたい手グセがあるものです。と言っても、ジャコのそれは手グセというよりも「代表フレーズ」という領域ですが。
さて1曲採譜しただけでこう言うのも恥ずかしい気もしますが、ポールチェンバースの手グセなのではと思われるフレーズを何個かピックアップしてみます。


一番頻出のパターンです。私にとっては1小節目でいきなり半音下降フレーズが出てくるのが驚きでした。
あとは上でも触れましたが、Dm7の2小節目を3rdのF音から始めているところですかね。私はだいたいこういう時に5thをとってしまうので、ぜひ新しい手グセに取り入れたいと思いました。
3小節目のII-Vはかなり素直な部類のフレーズ。
4小節目は耳で聴いたらそこまで特殊な音使いとは思わないのですが、いざ弾こうとすると自分のボキャブラリーに無い運指だったので、これも取り入れたいと思います。


次に出てくるパターンのように思われます(一部継ぎ接ぎしています)。これはそこまでコメントする内容ではない気がします。


DmをE弦のF音から始めるという発想が私に無かったので、これは新しいアプローチで取り入れたいと思いました。

第1回は以上です。第2回は?

ということで、ジャズバンドやる予定無いのに思ったより張り切ってしまいました。
しかしこんなライトな分析でもやってみたら発見があるものでして、おもしろいと思いました。というか一方で、散々ベースラインをコピーしまくっていた大学時代が、いかに頭を使わずやっていたかという気付きに多少なりともショックは受けてはいるのですが、まぁ気付かなかったことにします。

ということで、今回のポールチェンバースのプレイが他の曲でも共通するものなのか興味が湧いてきたので、別の曲で同じくポールのプレイを採譜してみたいと思います。

コメント

コメントをどうぞ(承認後に反映されます)




コメント