エレキベース演奏の音の粒を揃え、リズムをタイトにする練習 2025年版

1ヵ月以内

ファンク、R&B、ソウルなど、グルーヴィなプレイが求められるエレキベース演奏には
1音1音ハッキリ発音する
事が必要不可欠だと思っており、それを要素分解すると以下になると考えています。

  • 音量や音質のムラを省く
  • 立ち上がりの良い音を出す

これらのスキルをアップすべく永遠に試行錯誤しているわけですが、今年は以下を意識して練習するようにしています。

1. [基礎練] 右手の指を見ながら弾く

我らベーシストは視線のほとんどを左手に向けて練習しますが、敢えて右手に向けます。

こういう景色になります

こうすると、普段いかに右手の指が惰性でピッキングしているかに気付くことができます。例えば私の場合、特に弦飛びフレーズにおける中指の弦への引っ掛け方、振りかぶり方、力の入れ具合、にかなりバラつきがあります。これを自分の目で監視する事によって整える事、それを体で叩き込ませる事を目的とします。

Jaco Pastorius – Chicken

このジャコのベースプレイ、彼の右手を映像で見なくても、音を聴くだけで人差し指と中指のピッキングのバランスが保たれている事がビシバシと伝わってきます。

右手を見ながら延々とフレーズを弾く事で、フレーズに依存せず、常に人差し指と中指が常に同じパワーバランスで弦をピッキングできる状態を体に叩き込みます。1ヵ月ほど試していますがかなりの効果を感じていますのでおすすめ。

鏡を見ながらでもいいし、直に右手を凝視する、でも構いません。

2. [基礎練] リア(ブリッジ)ピックアップ側で弾き込む

これは筋トレに該当します。基礎練ではリアピックアップ側でピッキングする事を基本とします。中指のパワーを鍛えるのが目的です。

弦が硬いリアピックアップ付近だと、なでるようなピッキングだと音がまともに出ませんので、ひたすらにここでピッキングして連続16分音符でもしっかり発音できるように中指の筋肉を追い込みます。

この観点で参考になるのが、Cory Wongとの共演で知ったベーシストVincen Garcia。全ての音の粒が揃っていてとてもかっこいいベースサウンドの持ち主です。

Vincen Garcia

指の位置を見たらブリッジピックアップで演奏するのが彼のスタイルとなっていて、この位置でゴーストノートも組み合わせた激しい16分音符を弾き倒すのは相当な指のパワーが必要です。

また最近インスタでよく見かけるGera D’Abundo、この人も異常なスピードでパーカッシブな16分音符をブリブリ弾く人なんですが

Gera D’Abundo

この人もリアピックアップでの演奏を基本スタイルとしています。

2人とも恐らくフロントピックアップはカットせずフロントとリアのブレンドで音作りをしており、”もろジャコそのもののサウンド”とは差別化を図ったオリジナリティのあるサウンドを出しています。

上で述べた”右手を見ながら弾く”がフォームの練習で、この練習はパワーの練習、この両者で以て右手のピッキングが1音1音ハッキリ発音する事を目指します。

3. 左手の薬指と小指でしっかり押弦する

しっかり

しっかりとした発音を下支えするのは右手だけではありません。左手の指の押弦が甘いと音はしっかりとは鳴ってくれません。中でも薬指と小指は弦を押さえているようでちゃんと押さえてない事になりがちなので、これを意識して改善します。

このエキササイズのための課題曲として、Spainの有名なキメフレーズを毎日弾くことにします。手癖で弾けるつもりになっていても、ゆっくりのテンポで弾くと意外と押弦が甘い箇所がある事に気付かされます。

Spain – Chick Corea

またCイオニアンスケール、いわゆるドレミファソラシドですが、これを2オクターブで弾くエキササイズも良いです。

Cイオニアンスケールを2オクターブで

問答無用で薬指と小指を使わされます。メトロノームに合わせて練習する事が必須です。左手のポジション移動と小指と薬指の押弦が組み合わせるととたんにバタバタする事に気付かされますが、これを丁寧に、しっかり発音するまで追い込みます。
2025年3月時点の私は、BPM=165がまともに弾ける最速となっています。これをより早めていきます。

4. 左手の押弦をジャストに徹する

右手だけでなく左手も、発音すべきタイミングにジャストで押弦します。左手の指で音を出すくらいの意識でちょうど良いです。

発音がルーズだと感じる際、右手のピッキングのリズムがズレている、というよりも左手の押弦が間に合っていない、あるいは早すぎる事が原因である事が多いです。私の場合、人間としての性格がルーズだからなのか分かりませんが、意識しないとフレーズの出だしがヌルっとしてしまいがちなので、しっかりします。

中でも特に、休符の後の始動を意識します。
例えばThe Jackson 5の”I want you back”の有名なイントロフレーズ、16分裏で開始するフレーズなどは一定の緊張感を持っていないとヌルっとしてしまいます。

I Want You Back – The Jackson 5

各フレーズの出だしをバシッと決めるために、左手の押弦のタイミングに対してシビアな意識を持つようにします。

なお余談ですが、これの上級編として「常に、一瞬先のフレーズを意識する」練習があります。
やってみるとリズムがジャストに近づくという明確な効果があります。が、まだ私にはレベルが高くて脳のメモリをかなり持っていかれるのでこれは上で挙げた練習が板についた後に取り組む事にします。

おまけ. 前を見て立つ

これは演奏スキルとは全く関係無く、ただの見た目の話です。

4kgあるベースを担いで立っていると重力に負けてしまうからか、肩は閉じ、膝は曲がり、頭は垂れてしまいます。まぁ日常生活における私の姿勢が悪いだけではという話もあるんですが、とにかく、姿勢良くピシッと立った方が人として美しいです。

私がギターあるいはベースプレイヤーで最も佇まいがかっこいいと思うのが浅井健一氏なのですが、

適度なゆるさもありつつ、ビシッとしています

彼の立ち振舞がなんでかっこいいんだろうと考えると、前を見ているからだと気付きました。家で試すと、前を見るだけで、頭は上がり、肩は開き、足はすくっと伸びる効果があります。これ気付いた時、私はちょっと嬉しくなりました。そして楽器演奏だけでなく日常生活でも取り入れようとしています。

これで自分のライブ録画を見ても恥ずかしくない程度に美しい立ち振舞が身につくはずです。たぶん。

ということで、2025年も精進します。