20年ほど弾いている6弦ベースのYAMAHAのTRB-JP2、ずーっと弦のテンションがキツくて弾きづらいと思っていました。
このベース、LowBの音程感を向上するためにスーパーロングスケール(35インチ)を採用したものでして、「その分、テンションがキツくなるのは仕方ないかぁ」と何となく受け入れていたのですが、どうやら、そういう事では無かったようです。
ある日ふと、手持ちのベースのサイズを実寸で比較してみようと思いました。
ひとつはYAMAHA TRB-JP2。
もうひとつは一般的なジャズベースを代表してバッカスのフレットレスベースです。
ベースのサイズを表現する際に「ロングスケール」「スーパーロングスケール」と言われますが、定義は以下の通りです。
- スーパーロングスケール: TRB-JP2はこれ。35インチ(889mm)。
- ロングスケール: 普通のジャズベース。 34インチ(864mm)。
数字を眺めてもピンと来ないので、どんな体感差を生み出しているのかを知るべく、レッツ実測。
弦長は意外とたいして変わらない
ナット位置を基準に弦長を調べてみました。ここでの弦長は、ブリッジの端ではなく、サドルに弦が乗っかかる位置まで、としています。
上図の2つのベースの縮尺はかなり厳密に揃えています。素人採寸による数mmの誤差と、サドル位置は2023年12月現在の私のセッティングによるものという理解を頂いた上で、こうしてビジュアルで比較すると思ったより差が無いように見えます。
それもそのはず、34インチと35インチの差って2.5cmで、これは弦長の3%にしか過ぎません。
あとこれは趣旨から外れますが。なんとなくバカデカいと思っていたTRB-JP2、ボディサイズは意外と普通のジャズベースと似たようなものでした。知らなかった。
さて、上述の通りTRB-JP2は弦のテンションがバカきついのですが、本当にこの差だけで説明が着くのでしょうか。
注目すべきはピックアップの位置
こう比較すると、弦長よりもピックアップの位置の差の方がよっぽど大きい事に気付きます。
ブリッジピックアップは3.4cm、フロントピックアップにいたっては4.6cmも差があります。これによりサウンドが変化するのはもちろんそうなんですが、私にとっては右手の弾く指の位置が変わることの方が大事です。
私の場合、親指をフロントピックアップに乗せて弾きます。ジャズベースでも同様です。
そのため、フロントピックアップの位置差=4.6cmも指弾きの位置がズレていた事に今更気付きました。本当に20年間気付いていませんでした。
今までどこを弾いていたのか
では、TRB-JP2で普段弾いている位置がジャズベースにおいてどこに該当するかと言うと、
ジャズベースでのブリッジ側ピックアップ上で弾いていることに該当しているようです。ブリッジ付近での指弾きは弦のテンションとの格闘である事はベーシストならご存知かと思います。これが「TRB-JP2は弦のテンションがキツい」の正体っぽいです。
ちなみにこの位置はジャコのピッキング位置に相当します。ジャコが弾いていると考えると「それも悪くないか…」と思いかけてしまいますが、私にとってキツいのでしょうがないです。
ということで、
- 86.5cmの弦長が2.5cm長くなる事
- 一般的なジャズベースよりも4.6cmもブリッジ側で指弾きすること
どう考えても後者の方がプレイアビリティへの影響は大きそうです。ので改善を試みます。
これからはフロントピックアップ上で弾こう
逆に、普通のジャズベースと同じ位置で弾くとしたらTRB-JP2ではどの位置かをシミュレーションすると、それはフロントピックアップの真上となりそうです。
この位置で弾いてみたところ、弦が適度にしなる感覚があり、ジャズベースに近い感覚で弾けます。なんかやたら嬉しいです。
なんですが同時に、指がピックアップカバーに指が当たって弾きづらさも感じます。これは困った。
と思ったらこのベースの発案者であるJohn Patitucci本人が思っきりフロントピックアップの真上で弾いていました。ので私もこの位置で改めて練習しようと思います。
YouTubeで検索したらこのベースをブリッジ寄りでゴリゴリ弾く猛者が腐るほどいるのは知ってるんですけど。将来Fenderのジャズベースに持ち替えた時に変な癖がついてしまっている事がリスクだなと思い、できるだけ普通の力加減でベースを弾くようにしようと思います。
「スーパーロングインチスケールはテンションがきついわー」とこの楽器を買って20年間思い続けてきましたが、じゃなくて右手の弾く位置が違っていた、という話でした。
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