静岡県浜松市へのふるさと納税の返戻品で、BOSSのワイヤレスシステムWL-20を入手しました。


楽器本体に指すトランスミッターと、アンプ側に指すレシーバーの2つでセットになっています。どっちがどっちか分かりづらいですが、インジケーター(光るところ)が2箇所ある、シールが張ってあるのがレシーバーです。
2025年1月現在、サウンドハウスでの販売価格は20,000円となっています。

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以下、使ってみた上でレビューです。
- 自由に動き回れるの最高
- アンサンブルを客観的に聴けるの最高
- 気になるレイテンシー
- 初回にペアリングする時の注意点
- メンテナンス性
- デメリット
- WL-20とWL-20Lの違い
- ウッドベースにも良いかもしれない
- 終わりに
自由に動き回れるの最高
スタジオで使ってみたところ、「変革が起きた」と感じました。
WL-20を刺してアンプから音が出た瞬間、シールドに縛られた今までの人生がふわーっと雲散霧消していく感覚。今まで「そういうもんだ」と思い込んでいた制約が解消した時、人は感動を覚えるんだと分かりました。

シールドをぐるぐる巻いたりほどいたりする手間がゼロになるのも良いです。数年後、私は八の字巻きのテクニックを忘れているかもしれません。
私は自由に動ける事があまりに嬉しくて、ミキサーをいじったり、エアコンの温度を調整したりしました。
アンサンブルを客観的に聴けるの最高
それだけでなく、ベーシスト視点ではバンドアンサンブル(外音)を聴けるのが最高にグッドです。
ベーシストはだいたいバンドの最奥にいるんでバンドの正面に立つ事ができないんですが、ワイヤレスはそれを可能にします。

先日のスタジオ練では敢えてベースアンプから一番遠いところで演奏してみました。
そうすると不思議なことに、普段より音量を落としてもベースの音が聞こえるものなんですねぇ。録音を聴くと明らかに自分の出すベース音の音量が普段より小さく、バンドとして良いバランスになっていると感じました。この立ち位置だとバンドアンサンブルとして適切なバランスが非常に分かりやすい。
自分の後ろではなく前方からベース音が聞こえる体験は非常に奇妙ではありますが、人間の耳は前方向からの音の方が聞こえやすくなっているので、そもそもベースアンプが自分の後ろにあるという前提の方がおかしいような気がしてきます。
この環境で練習すると、”音量が小さいけど抜けるベースサウンド”を自然に追求する姿勢に繋がってくるのではないでしょうか。こっちの立ち位置の方がベーシストとして成長すると思います。
ただし、ライブではこんな立ち位置で演奏しない事が残念です。いや、やってもいいんですが、お客さん目線、非常に奇妙ではあります。
気になるレイテンシー(遅延)

WL-20のスペック上では2.3ms(1,000分の2.3秒)の”超低レイテンシー”との事です。これは数字の話であって、体感ではどうなるのでしょうか。
結論、全く気になりませんでした。少なくともアマチュアミュージシャンである私が遅延を知覚できるレベルではありませんでした。
BluetoothイヤホンでYouTubeのライブ動画を見て映像と音のズレがかなり気になる経験をした人は多いと思いますが、この際のレイテンシーは一般的に200~300msとの事です(ChatGPT調べ)。WL-20はこれの100分の1の遅延ということになります。
また一般的な人が遅延を認識できるレイテンシーは20~40ms、プロミュージシャンだと10msの場合もありうる、との事です(これもChatGPT調べ)。WL-20はそれよりもさらに10分の1の遅延量ということになります。
ここまで言われると「自分には遅延が分からんだろうな」という気にもなりますが、実際の体感もその通りでした。
という事で、体感的にも科学的にも「一般人が知覚できるレイテンシーでは無い」という事で演奏上は気にしないでいいと思います。素晴らしい。
初回にペアリングする際の注意
レシーバー側の充電が完了していないとペアリングできません。自分は最初これを知らず、「しょ、初期不良か」と不安になりました。
とりあえず箱を開けたらレシーバーを充電するのが良いです。
メンテンナンス性
充電端子がMicro USB
多くのガジェットがUSB Type-Cに対応している昨今にこれは残念。昨年買ったヘッドフォンアンプNUX Mighty Plug Pro MP-3はType-Cで充電できて「音楽機器も進んだもんだなぁ」と思ったものですが。
私の生活でMicro USBで充電する機器が1つも無いので、これだけのためにMicro USBケーブルを用意しておく必要があります。ちょっと面倒だなぁというのが本音。次の商品アップデートがあるならType-Cへの変更を検討して欲しい。
充電の手間感
シールド運用ではもちろんその必要は無いのですが、ワイヤレスの運用では充電の手間が発生します。他人に比べてめんどくさがり度が高く、忘れっぽい私にとってこれは明確なリスクです。
1回の充電で12時間使えるという点は非常にありがたいですが、リハの回数が2~3ヵ月に1回という私に充電する習慣が身につくのでしょうか。たまたま充電を忘れてリハやライブ中に電池が切れるハプニングを想像すると、ちょっと怖くなりますね。
まだ1回しか使ってはいませんが、想像するにその不安や手間よりは利便性の方がはるかに上回っているとは思いますが。
耐久性の評価はもう少し先になって
サウンドハウスなどのクチコミなど眺めていると「接続に難がある」や「使ってるうちに繋がらくなった」という声が見受けられます。私の場合はまだスタジオで1回使ったくらいですので多くを語れませんが、デビュー戦は全く問題ありませんでした。
何か異変があればここで追記したいと思います。
デメリット

ちょっとだけかっこ悪い、くらいしかデメリット無いです。
WL-20とWL-20Lの違い
似た商品名で2つのモデルがあります。違いは以下のようです。
WL-20 | WL-20L | |
---|---|---|
対応するピックアップ | パッシブピックアップ (ハイインピーダンス出力に対応) | アクティブピックアップ (ローインピーダンス出力に対応) |
Cable Tone機能 | 搭載、かつOFFにできない | 非搭載 |
私は上記の違いを知らずにWL-20を購入しましたが、たまたま今のベースがパッシブなのでWL-20で良かったです。
なおハイインピーダンスとは信号に対する抵抗のようなもので、ハイインピーダンスであるパッシブピックアップはアクティブに比べて信号が弱く劣化しやすい性質があります。
対応ピックアップとは別にもう一つの違いとして、”Cable Tone機能”の搭載・非搭載があります。
Cable Tone機能というのは、3m相当のシールドケーブルを繋いだ場合に発生する自然な高音域の変化を再現するという技術とのことです。
私はエレキベースをシールドで繋いで演奏した事しかないので、この機能のありがたみが分かりませんでした。逆にCable Tone機能OFFで音を出したらその違いに驚くのでしょうか。拘りで商品化されたメーカーの方、申し訳ございません。
ウッドベース(コントラバス)にも良いかも
この世で最も取り回しの悪い楽器のひとつにウッドベースがあります。しかしこのワイヤレスシステム、ウッドベースでのリハやライブでもめちゃくちゃ良いんじゃないでしょうか。ジャズベーシストなら誰もが、このクソ大きい楽器とシールドの両方の扱いとそれによる移動の制約に対して筆舌に尽くしがたいストレスを感じた経験があると思います。
今の自分には試す機会は当分ありませんが、次にウッドベースでリハに入ったらこれ使ってみようと思います。多分便利過ぎて泣く。
終わりに
素晴らしい商品です。もう2025年ベストバイ候補。もっと早く導入しておけば良かった。ギタリストやベーシストは問答無用で買えば良いと思います。

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