人生で初めて買ったエレキベースです。中3か高1の時に、高知市愛宕の楽器堂オーパス本店にて。確か30,000円くらい。
こんな見た目。ジャズベースが基本ですが、自分に向かって手前側(写真で言う上側)のカッタウェイがけっこう細くアレンジされてるのがシェイプ上の特徴です。というかボディ、ネック、ヘッドに渡ってよくもここまでを同じ色で統一したなぁと今更ながら感心します。
そしてなんと24フレット仕様。後述のプリアンプの件もあり、初心者用のベースとしてはけっこぶっ飛んだ仕様な気がします。
さてこのベース、新卒時代の同僚ヤベに10年以上貸したまま忘れてたものがつい先日返って来たので、懐かしさのあまり弾いてみました。そしたらあんま悪くない。使い所によっては30万するYAMAHA TRB-JP2よりもハマるんじゃないかという気がします。
さすがに安物なので音が粗いのはしょうがないとして、アクティブの甲斐あってちゃんと音が飛んでくる。TRB-JP2が36インチスケールでやたら弾きづらいのに比べると弦のテンションも適度で、弾きやすい。これから宅録で使うかもしれません。
Rhino(ライノ) by Aria Pro IIって?
このベースを買って20年以上経った今になって初めて調べてみたところ、ライノというブランドに関する情報はネットから全然拾えません。過去に消滅したブランドのようです。
ヘッドを見るにどう考えてもAriaProIIのサブブランドなのは間違い無いでしょう。一方、AriaProIIのサブブランドとして現存するものにLegendやBlitzがあります。これらは中国や韓国で生産される廉価版ブランドのようです。
でこのベース、力強いMADE IN KOREAの刻印が示す通り韓国製なので、RhinoとはLegendもしくはBlitzの前身ブランドなのではないかしら、という予想をしました。誰か真実を知ってたら教えて下さい。
やたら幅広いサウンドメイキング
安物ですがコントロール部がやたら充実しています。
まず、スイッチが2つあります。
ひとつはパッシブ/アクティブの切り替え。で、もうひとつのスイッチが何なのかというと、リアピックアップの切り替えです。リアピックアップが謎にハムバッキングでして、フロント側のみ/ブリッジ側のみ/ミックス、の3種類の切り替えができます。リアピックアップのみでまず3種類です。
次にノブ。
まずマスターボリューム。フェンダーのジャズベースのようにフロントとリアのピックアップを独立して音量調整するのではなく、文字通りマスターボリューム。これ一本で調整します。
もうひとつがピックアップのブレンド。ネック側(シングル)とブリッジ側(ハム)のブレンド具合を調整します。当たり前ですが中央で1:1のブレンド。ただノブを回す方向と選択されるピックアップが逆になっており直感性に大きく劣ります。単に回路を逆につけてしまっているだけかと思われます。
残りの2つがトレブルとベースのブーストです。これの効きがかなりえげつないです。とにかく節操ないくらい効く。
トレブルをブーストしたらただただギンギンになるし、ベースをブーストしたらひたすらブオブオになります。プリアンプというのはどの帯域に目をつけるかで各メーカーの特徴、つまりどの帯域がベースサウンドとしてオイシイと考えているかが現れるわけですが、このプリアンプはそういう地平線上にはおりません。たぶんトレブルもベースも、XXHz以上/以下を一斉に持ち上げる、みたいな処理をしているような気がします。
楽器の初心者にも扱えるものを、というAria Pro IIの哲学と合わせて考えると、これくらい分かりやすい変化の方が、中学生や高校生にはちょうどいいのかも知れません。事実、その頃の自分は全く良くわからず使っていました。
プリアンプ
キャビティをあけてみました。Fenderより全然綺麗なのでは…?あと30万円したTRB-JP2よりも配線が複雑で、ここにかかってる人件費は勝っているだろうと思われます。
さっき説明した節操のないプリアンプを探ってみますと、ARAIのRBA-04Mというモデルのようです。ARAIというのは、Aria Pro IIブランドを運営する荒井貿易の事でしょうね。
ネットで調べましたが情報が全然出てきません。過去のオークションサイトの魚拓を見る感じ、韓国製で3,000円くらいで取引されているもののようです。
最後にシリアルナンバーを晒しておきます。
終わりに
20年前の自分がこれのどこにビビッと来て人生のファーストベースとしてチョイスしたのかは覚えていませんが、今見てみるとまぁまぁぶっ飛んだ仕様でした。
24フレット、ハムバッキングのリアピックアップ、イコライジングが効きまくるプリアンプ…、安直にFenderの廉価版ジャズベースを1本目と選ぶのとは全く異なるベース体験を提供するモデルなのは間違いないですし、よくこれを30,000円レベルで提供するなぁと感心します。Aria Pro IIの哲学をよく現しているとも思える一本です。
初めまして、匿名で大変失礼いたします。97年暮れから翌年にかけて販売されたアリアプロ2 RB-68(あるいはもう1ランク上かも)かなと思います。ストラップを長くしてもヘッド落ちせず、ジャズベとリアハムの組み合わせで、荒井貿易さんの野心的デザインでした。セカンドブランドではなくIGBやAVBなどアリアオリジナルデザインに加えようとした新シリーズ的なものだと思います。木目ボディが上位機種、廉価版は単色塗りつぶしでバスウッドだったと思います。当時自分も購入を一瞬迷ったのですが、韓国製より国産APにしたくて見積もりしたら15万以上とのことでした。スティングレイもジャズベも所有してたのと、やっぱり音に少し癖があり断念しました。カスタムすると値段も上がりそうでしたので。
メーカーの中の人さえ覚えているかどうか定かでないくらい珍しいモデルです。中古ですら出てきません。永く大事にしてください。
大変貴重な情報、誠にありがとうございます。
な、なんと。そんなに珍しいモデルだったんですね…。なおさら、なぜ高知という辺鄙な地に巡っていたか興味が湧いてくるお話です。
正直、安いモデルだしと雑に扱っていましたが、お話を受けて丁寧に扱ってあげようと考えを改めました。
コメント、本当にありがとうございました。
実は つい最近 似たようなのを 手に入れまして・・
同じ Aria ProⅡ ですが
微妙~に 変異がございます。
貴殿の機種と ネック部は同一に見えますが
ヘッド部形状が 左上がりの一般的な先細り平行四辺形
そこに Aria ProⅡ のプリント ペグも黒色
ボディの色が ネックと表裏の中間色マホガニー木目仕様
上下のカッタウェイが 貴殿の物に似てにつかぬ
シンプルな先細りの突出し
ピックアップは センターから3&4 1&2
そして 通しの3連
スイッチは それぞれのボリュームが3個のみ
ネックのセットも直線斜めで そこに MADE IN KOREA
裏面スウィッチ裏蓋もサイド潰れの卵型です
いかにも 貴殿の下位機種然としておりますが
入手した値段の割には 安っぽくなくジャストフィットで
大変気にって ベース入門に励んでおります
ちなみに 当方のシリアルNoは S97101157
もしかして 1997年10月 No1157機かと・・・