レトロRPGレビュー:聖剣伝説3の感想

先日聖剣伝説コレクションが発売されたニュースを見て、ふと聖剣3の途中のセーブデータがあったなと思い出し、生来のハマり症が発症してあれよあれよという間にクリアしてしまった。22年前のゲームだが今でも全然楽しめる。ついでの感想でも書いておく。

クリアまで

残ってたデータはレベル18で零下の雪原。どうやら1回目のクラスチェンジのために立ち寄った状態で放置していた模様。
パーティがリース、アンジェラ、ホークアイということで、これも思い出してみると多分「ヒールライトが使えない3人でクリアしてみよう」という狙いがあったように思われる。人生で多分4or5周くらいクリアしてるので、それくらいのチャレンジ精神に火がついたのかもしれない。

当然回復が全てアイテム便りになるので、ダンジョンから戻る度に「まんまるドロップ」と「ぱっくんチョコ」を20個くらい買い溜めすることを繰り返す。わりと金がかかってしょうがない。まぁそれでも神獣戦までは武器防具を揃えられるだけのお金はキープできたから、そんなに大きい影響は無いかもしれない。確か普通にプレイしていてもそれくらいの時期に金が足らんくなった気がする。フラミーゲットしてからは、宿屋代をケチるために零下の雪原の金のマナの像か、ディオールの10円宿屋をよく利用した。
ちなみに途中からブラックマーケットで買える「ポトの油」の方が効率が良くなることに気付く。全体回復できるって今まで知らんかった。これ、アイテムじゃなくて魔法扱いらしい(だから精神の値で回復量が変わる)。

ブラックマーケットと言えば、今までのプレイでは全く気にしたことが無かったが、実は相当優秀なアイテムの宝庫だったことに今回初めて気付いた。
神獣戦でウルトラ便利なツメ系アイテムはもちろん、味方のステータスアップの「サハギンのウロコ(知性・精神)」「ドレイクのウロコ(攻撃力)」「バレッテのウロコ(防御力)」が破壊的効果。常に9個常備。今回はリースを聖じゃなくて闇で使ったので、魔法で敵のステータスダウン、アイテムで味方のステータスアップの両方で攻めるとボスが楽勝楽勝。なんだこれ。

今回のクラスチェンジでは、リース=フェンリルナイト(闇闇)、ホークアイ=ナイトブレード(闇闇)、アンジェラ=グランデヴィナ(光光)にしてみた。リースは便利さで考えるとステータスアップ系にしたくなるが、今回は敢えて不便に攻略してみようと思って闇に。そしたら後で気付いたけど、上述の通りアイテムでガンガンステータスアップできてしまったので、逆に便利になってしまった。ブラックマーケットではダウン系アイテムは売っていないので、ダウン系は魔法に頼るしかない。
ちなみにこれも後で知ったがホークアイも闇だとステータスダウン系の特殊技を覚えるので、リースと役割が被ってしまった。光にした方がおもしろかったかも。

ホークアイのナイトブレードは「含み針」がウルトラ便利。ザコはほぼ間違いなく沈黙にできる。終盤は敵の物理攻撃よりも魔法攻撃がホント強いし(まさか毎回マインドダウンをかけるわけにはいかん)、しかも今回ヒールライトが無いのでできるだけ被ダメージを抑える戦略をとらないととにかくザコ戦がキツイ。というかやってみて分かったけどヒールライト無しパーティはボス戦よりザコ連続戦の方がキツイ。消費MPも2か3くらいなので連発できるし、これには相当助けられた。

自キャラの能力値をMAXにしてラスボスに挑むのが礼儀という信条があるので(ただしゲームによる)、だいたいレベル55~56でMAX値にして上述のボス対策で挑んたらそのままあっさり倒してしまった。
回復アイテムは「ポトの油」と「まんまるドロップ」それぞれ4個くらいしか使わんかった。最終決戦に備えて「ぱっくんチョコ」「はちみつドリンク」も完全備蓄したけど、1個も使わんかった。こんなに弱かったっけ…。

アンジェラは最後まであんま使い所がわからんかった。個人的に待機時間があんま好きじゃないからいちいち魔法かける度にゲームがストップするのが気に障ったというのもあるけど。攻撃力MAXまで上げるといちいち魔法唱えるよりボコボコ殴った方が時間あたりの与ダメージが高い気がする。ボス戦はもちろん弱点攻めたらけっこうダメージ与えられるけど、とはいえ聖剣2ほどの属性メリットないし、物理でボコボコ殴ってもだいたい楽勝だった。魔法に頼ったのはプチティアマットを狩る時にアースクエイク連呼してた時くらいかもしれない。

クリア時間は24時間くらい。思ったより短かった。

攻略情報は誰もが知るnJOYさんにだいぶお世話になりました(特に種の発生ルーチン解析)。

RPGとしての感想

このゲームで一番すごいなぁと思うのはグラフィック。
この頃のスクウェアが連発していたハイクオリティグラフィックRPGの中でも、バハムートラグーンと並んで最高峰ではないかと。個人的にスーファミRPGのドット絵ベスト3に入ると思っているフロントミッションのエンディング並みのグラフィックがどの場面でも披露される。すごすぎ。単にリアルであるとか描写が細かいというだけでなく、ゲーム全体通してちゃーんとアートディレクションされてる点が好ポイント。聖剣シリーズが持つ「おとぎ話的」世界観がブレないのは、グラフィックのおかげでしょう。

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とにかく色彩が綺麗。1枚絵としても見れる。エンディングによると背景とキャラのグラフィッカーは別の人がやってるっぽいですが、よくもこう融合できたものよ。

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自分がこの作品で一番好きなグラフィック。

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これも神がかっとる。

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エンディングより。上の3枚は細かい描写の積み重ねが効いてくるグラフィックだったが、これは逆に少ない色数でこの遠い山の感じをうまく表現してるなーと。山にぶち当たる雲の感じも他のスーファミRPGでは見れないクオリティだと思う。

結城信輝さんによるキャラクターデザインも特筆すべき。
6人の主人公キャラはかなり上手く1体1体の魅力が描き分けられていると思う。同氏は手がけたクロノクロスよりも聖剣3の方が残念ながらデザインのクオリティは高い(なぜ残念かと言うとRPGとしてはクロノクロスの方が好きだからだ)。クロスはさすがに50人もキャラクター描いてるといろいろ難しいのだろうなぁと思わされる。
ただ、肝心のゲーム中ではキャラデザインの再現度はけっこう今ひとつなんだなぁ。皆、脳内補完して遊んでたはず。

そんで音楽はかの菊田裕樹さん。
サントラに収録されてるのが60曲。ボス戦ごとにBGMが用意されているウルトラ豪華仕様。そんなゲーム他にあるか?正直言うと聖剣2に比べると「これぞ」という曲が少ないけど、逆に捨て曲も殆ど無い。アンケートとったらまんべんなく票が集まりそうなラインナップ。この膨大な数の曲の全てにちゃんとメロディをぶち込んでくれたあたりは魂の仕事を感じる。
好きな曲は、中学生の時にMIDIで打ち込もうとして挫折した「Can you fly sister?」と、聖剣2のラスボス曲のセルフアレンジと聞いて改めて聴き直すとビックリ仰天した「Meridian Child」。ちなみにサントラ買った時にブックレットにやたら難解な前書きがあって驚いた(氏はたしか哲学科出身)。

ゲームバランスについて。
6種類のキャラクターがそれぞれ最終的に能力の異なる4種類クラスを持つので、組み合わせは多分3ケタ超えるボリュームがあるはず(めんどいので計算してない)。俺も4or5周くらいしてるので何となく分かるのだが、どの組み合わせになっても似たような難易度になるようにバランスが組まれている。これはかなりスゴイんではないか?ヒールライト無しのメンバーでチャレンジすることは結果的にそのことを検証することにもなってしまったが、過去のプレイともやっぱり大差無いような気がする。もしかしたらこのゲームのリソースの大半はグラフィックとバランス調整に費やされたのではないかと思うぐらいだわ。

さて、いろいろ褒めはしたが、俺がこのゲームを傑作とは思えない理由がある。

マルチ主人公制をとるRPGの宿命に漏れず、このゲームもドラマ性がむちゃくちゃ薄いんだなぁ。
もしかしたらそれは弱点なのではなく、そもそもそういうところにゲームのコンセプトを置いてない可能性もあるけど。主人公が6人いるからといって6種類もシナリオ細かく書いてられんよなぁ。まぁそんな背景があるのか無いのかしらんが、主人公視点がストーリーを歩んでいくのではなく、「大きなストーリーの流れが先にあって、たまーに主人公が小言を挟む」みたいな感覚になってしまう。なもんで、1場面1場面がやけにあっさり事務的に進行していってしまう。最も典型的なのはロマサガシリーズ。
俺はRPGをドラマだと思ってるフシがあるので、ちょっと評価としてはキビシイ。

一番笑ったのはこの場面。

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昭和の体育教師のような理屈
で主人公を鼓舞する(無理やりラスボスと闘わせようとする)フェアリー。あっさり「そうだね!」と快諾する主人公。だいたいこういうテンションが最初から最後まで続く。というかこのゲーム、主人公のキャラがあまりに薄いのでフェアリーが真の主人公のような錯覚を覚えたりする。

まぁ、上で書いた通り、聖剣シリーズは「おとぎ話」としてのテイストが強いので、それでもいいのかもしれない。リトルマスターのレビューでも似たようなこと書いたような。

まとめ

ということで正直、「人生の重要RPG」に残るかと言われるとそうでもないのだけど、部分的には魂を感じる良RPGでした。たまに遊びたくなる。
Wikipediaによると出荷本数は80万本とのこと。聖剣2の半分くらいだったのかと驚くが、やっぱり聖剣2が出た時のあのセンセーショナルな感じはすごかったもんなぁ。たしかドラクエ6と発売日がかなり近かった気がするので、その影響かもしれない。

おまけ

マナの聖域の曲「Decision Bell」を、6弦ベースだけのオーバーダビングで録音するというウルトラニッチな趣味があった時期があり、それを晒しておく。