レトロゲームの感想「ライブアライブ」極上のB級感がたまらない名作

このゲーム、一言で言うのがすごく難しいポジションなんですが、3分くらい考えて傑作になれなかった超名作、て感じかなぁと思いました。
知ってる人はめっちゃ好き。俺も大好き。人生ベストRPGランキング5位には入らないけど、10位には入る、そんな感じ。

今になっていろんな角度からこのゲームのことを思い出してみると、デザイン以外は完璧に近いんじゃないかなぁと思います。中でもイベント演出の良さは他RPGに比べて群を抜いている

セールスに現れない名作である

1994年9月発売。当時小5くらいです。歳がバレるな。
出荷本数は27万本らしいです(Wikipediaより)。市場としては相当売れてる方だとは思うんですが、当時のスクウェアRPGとしては少ない気がします。半年後のフロントミッション、1年半後のバハムートラグーンは50万本を越えてますが、それと同等、もしくはそれ以上売れても良い作品だと思っています。

この差は何なんだろうと考えると、冒頭で言った「デザイン」じゃないかなぁと思ったりします。簡単に言うと、ビジュアルが素人ウケしなかった。ファミ通などの雑誌でしかゲームが浸透しなかった当時は「画面が魅力的に見えるか」がセールスに結構影響してたんじゃないかと。フロントミッションやバハムートラグーンはもうむちゃくちゃ綺麗やもん、画面。

で、コメント頂いたようにFF6とクロノトリガーの発売が前後していたのがセールスに影響していたのは紛れもない事実だと思いますが、ここで私が言いたいのは、絵が良かったらまだ善戦したのではないかなぁという事です。

…何か、絵が悪い事を強調してる感じになって来ましたがこれは本意ではなく、このRPGは素晴らしいという事が言いたいです。

中身で勝負、のマニア向けRPG

このRPGのことを悪く言う人がいないのは、やっぱり中身がいいからです。ほんとめっちゃいい。「やった人には分かる」このRPGの凄みは未だに語り草になっている。
で、自分なりに「ここが効いてるなぁ」と思う要素に分解してみました。

  1. 実際にプレイしたからこそ分かる、抜群の「演出」
  2. 気付けば気付くほどテンションの上がる「ギミック」の多さ
  3. ハードにもイージーにも楽しめる「やり込み要素」

あたりが核になってるんだろうなぁと。

なおライブアライブを語る時にやはり話題になるのは中世編かと思いますが、個人的にはあれが優れているのは「勇者の闇落ち」というストーリーそのものよりも、あそこまでドラマティックに仕立て上げた演出にあると解釈しています。

1. 演出が神がかっている

とにかくこのRPGは演出が最高。歴代RPGで1位と言っていいです。
RPGにおける演出が何を指すのかというのはいろいろと議論があるでしょうが、言うとすれば「ストーリー」「セリフ」「音楽」と、それらが「間合い」で組み合わさった表現の事を意識してます。

特にこのRPGの「間合い」は独特です。RPGツクールをやった方にはお分かりだと思いますが、セリフとセリフの間に何秒置くかで雰囲気ってガラリと変わるもので、そのチューニングには狂気じみたものすら感じます。

8つの章それぞれのボス戦への導入は全てが神がかっている。全てめちゃくちゃ盛り上がります。

みんな大好き、近未来編の

ざけんなよ・・・ そんなカッコにならなくてもな・・・ 一つにはなれんだよ! なあ・・・
ピロピロピロ
(そうだろ、松ッ!!)
→MEGAROMANIA

のくだりとか思い出しただけでも震える。泣きそう。やってない人には全く伝わらんやろうけど。
このセリフも、アキラと無法松の関係があるからこそ破壊力があるわけだし、こういったようにストーリーの組み立てとその上に乗っかるセリフが相乗するようにうまくライティングされてる。

あとは功夫編のラストも好きでした。

旋牙連山拳ッ・・・!
→(ホワイトアウト)
→MEGAROMANIA

ちなみに今読み方を知りました。「せんがれんざんけん」と読むらしいです。

下村陽子作品で一番好き

ライブアライブを語る上で音楽は絶対外せませんね。
数々の名曲を世に放ってきた下村さんですが、作品タイトルで言うとライブアライブの曲が一番好きです。最高傑作だと思っています。
ただそれは曲単体での評価というより、演出との相乗効果で本当に印象深い使われ方がされている、というのは事実だと思います。世の中ではこれを思い出補正と呼ぶのかもしれませんが、自分はゲーム音楽ってむしろ思い出補正されるべきものだと思ってます。

作品テーマは?

中世編のプロットがひとつのエッセンスになってるのは間違いなくて、キーワードは「悪」「憎しみ」の2つが思いつきます。それまでのRPGでは「善」が前提になっているところに敢えて「悪」にフォーカスすることで、善と悪を意識させる作りに。

単純にドラクエ的な勧善懲悪へのアンチテーゼともとれますが、自分としては「自分にとっての正義は、視点によって善にも悪にもなる」という解釈で落ち着いています。最終編が大きく「主人公サイド」「魔王サイド」で選択できるようになっており、どっちにもエンディングが用意されているあたり、そういう事でいいんじゃないかと。主人公サイドのエンディングの方をトゥルーエンドと位置付けているあたり、なんだかんだで善視点というプロットになっている感は否めませんけど。

もしかしたらもう一段階メタ視点で捉えて「人間、善な部分も悪な部分もあるけど、両方含めて生きて行こうよ」というメッセージだと捉えてもいいかもしれません。人間を滅ぼす手段に出た魔王側の正義に対して、主人公サイドは「生き残る」という正義を選択したのだと解釈すると、善と悪の選択、ではなく、生きるか滅ぶかの選択、がこのRPGでテーマにしたかった事だと思われます。
タイトルの LIVE A LIVE の中に、EVIL が「含まれている」ので、こっちの解釈がしっくり来る気もします。

さてどの章も印象に残ってますが、特に「近未来編」「SF編」「功夫編」が印象的でした。恐らく人気の章だと思います。
SF編は当時小学生の俺にはマジで怖すぎた。
※先日、30歳を超えてプレイ動画を見たけど、やっぱり怖かった。

2. ギミック・小ネタが多い

ゲーム全編を通してもそうですが、いたるところにギミックが施されています。今俺が思い出すだけでも、

  • ボスの名前が全部「オディオ=憎悪」のアレンジ
  • 章ごとに「ワタナベ親子」というサブキャラクターが(それぞれ独自の設定で)存在する
  • タイトルを反対(裏?)から読むと「LIVE A EVIL」と読める。
  • 未来編の主人公の必殺技名の頭文字が「HUMANISM」のアナグラムになっている

こういう要素はファンにとって宝探しのようなワクワク感を与えるのはもちろん、制作者が楽しんで作っている事が伝わって愛を感じます。だってもし自分が制作者だったら、作っててつまらないゲームにこんな要素入れないもんなぁ。解説サイトで発見するとめっちゃテンションあがる。売れる売れないには全く関係しないと思うけど、こういう遊び心が長く語られる要素なんだと思います。

3. やり込み要素がえぐい

別にスル―してもクリアできるんですが、ハードプレイヤー向けのネタも散りばめられています。

  • 未来編の、やたら難易度の高いキャプテンスクウェア
  • 幕末編の0人切りor100人切り
  • 幕末編のなんか強いボス
  • 原始編のなんか強いボス(そもそもエンカウントが「これ知ってないと無理やろ」レベル)

自分はあんまりこういう要素をRPGとしては評価しませんが、ユーザーの間口を広めるという意味でゲームには必要な要素だと思います。何より、ギミックと一緒で制作者が楽しんで作ってるのが感じれて嬉しい。

最終章はちょっともったいなかった

話は変わりますが、オムニバスで各キャラクターのストーリーを見せておいて最後に集結という構成はドラクエ4と似ています。

ただドラクエ4は全員集まってからいよいよ本番のストーリーが始まる構成だったのに、ライブアライブでは最後の最後でボリュームがしょぼい。ストーリーが無く、箱庭の中で魔王を倒すだけの作業が残るっていう。これがめちゃくちゃもったいないなぁと思います。

まずキャラクターの個性が一気に無くなってしまうのと、単純にラスボス前でテンションが上がらない。
最終章は最終章で、軽くでもいいから流れを作っといて「ようやくラスボスまで来た」感があったら、ストーリーとしては文句のつけどころが無いところまで来たのになぁと思います。たぶんエンディングの演出も変わったと思う。このスタッフだったら、ものすごいものが出来てただろうと思うと、すごく残念。

このB級感あってこそのライブアライブ

ということでプレイヤーのテンションを上げる演出がふんだんに散りばめられた名作RPGでした。
冒頭でデザインがどーのと言いましたが、それも含めて「このB級感あってこそのライブアライブ」という気がしないでもない。そういう「隙」もあって、長く愛されるゲームである事は間違いないです。
綺麗なグラフィックじゃなくていいので、この製作陣でまた野心作を見てみたいものです。

追記

このゲーム評価で「クソゲー要素のある名作」というのを見つけましたが、すんごい的確です。的確すぎて笑える。

ゲースレVIP : ライブアライブってゲーム知ってるか?