FF9リマスターを2020年にもなってプレイしたら最高だった

半年以内

時代はFF7リメイクが好評を博している2020年ですが、私はFF9を始めました。これは20年前に発売されたRPGです。

昔は狂ったようにプレイしていたRPG。私もすっかり歳をとり、YouTubeのプレイ動画を2倍速で見て満足する体になってしまいました。
なんですが、ある日いきなり「その行為すらマンネリ化していないか…?」と天啓が下った気がして、自分の手でRPGをプレイしてみようかと思った次第です。なんだか一周した感があります。

改めて、動画を見るより5倍や10倍もの時間をかけてRPGをプレイするという「手触り感」が、今の自分にどういう意味があるのかを体験したいと思います。

という事でSteamデビュー。FF9を選びました。

10年前に買ったCore i5-750、32bitのWindows機で動くのか心配でしたが、意外や意外、普通に遊べる。Steamは「PCのスペックが足りなかった」という理由でも返金に応じるポリシーなので、メジャープラットフォームはやっぱサポートがイケてるなぁと思いました。

以下、ネタバレだらけの感想です。
ちょっと読めば分かる通り、自分はレトロゲー信者なのでそのノリが厳しい方はご注意下さい。
あと15,000字を超えたので目次を作りました。

目次:

ファーストインプレッション

すでにめちゃいい。
以下の口調がだ・である調になってしまうくらいいい。

何よりもまず、ファンタジーなのがいい。
自分は「リアルなものは現実で楽しめばいいのでゲームは現実からかけ離れたものであって欲しい」と強く思う人間でして、これくらい剣!魔法!3等身!で全然オッケー。というかこれくらい割り切ってくれないとRPGやってる気がしない。

主人公がお姫様を誘拐するところから物語がスタート、というのもベタベタなファンタジーで良い。これぞ和製RPGという感じでひたすら嬉しい。
(余談だが、そんなわけなのでSF路線全開のFF7リメイクに全然興味が持てない。困った。)

そしてとにかく、世界観が良い。

ジブリ的世界観を意識しているようにも感じる。特に人工物のデザインにかなり気合が入っている。色も綺麗。


SFよりもファンタジーの方が「他人の想像力を疑似体験している」感覚を強く味わえる。SFはどれだけ頑張っても現実の延長線上に思えてしまうので、そもそもベクトルから根こそぎ変えて構築された世界の方がクリエイティブだと感じる。


FFのお家芸、飛空艇。デザインにロマンを感じる。

世界観の構築にムービーが一役買っているが、これの美しさに毎回すげえぇーと感動する。感動させて頂いている。
PS初期に「技術はすごいけど絵として美しくないムービー」を浴びるほど見て来た原体験からRPGのムービーに拒否反応があったが、FF9のムービーはどのシーンも絵になっていて、美しい。

まずオブジェクトひとつひとつのデザインがいい。で、コンテをしっかり描き込んでいて、仕上げの色彩がめっちゃいい。毎回、いいもの見たわーという気になる。
RPGにムービーは不要だと思ってきたが、考えが変わってしまった。

としきりに感動しているのだが、実を言うとFF9は発売当時リアルタイムに一周遊んだ上で全て忘れてしまっていたようで、プレイしながら「ここまで忘れるかー」と感心すらしている。この場合、初回プレイをやっている感覚で遊べるという特典がある。ちなみに20年前はラスボス直前のセーブポイントで辞めてしまった。なぜ敢えてそこで辞めた理由も全く思い出せない。

キャラクターは、キャラゲーにならないギリギリのところで個性化を抑え込んでいるのがかなり好ポイント。
テイルズやペルソナみたいにキャラ自体がガンガン前面に立ってくるよりも、ストーリーが大きくうねる中にキャラクタがー配置される、というバランスの方が好きだ。
唯一残念なのが、ヒロインのガーネットがあんまりかわいく感じない事くらい。オレンジのタイツみたいな衣装が不自然に浮いてて笑いそうになる。

衣装さえもうちょい良ければ名ヒロインになってたような。

FF9の音楽ってあんまり印象に残ってなかったが、改めて聴くとなかなかいい。
SFC時代のRPGみたいに音楽そのものがグイグイ引っ張っていくような破壊力は無いけど、シーン毎に1曲1曲丁寧に創られていると感じる。
今回、生まれて初めてヘッドフォンでRPGをプレイしているとPSってこんなに生音が再現できたのかと耳を疑うほど音色がいい事に気付く。
そして中には、BGMというよりももはや環境音とでも呼ぶ方が適切なくらいメロディ性に乏しい曲もある。それを聴きながらプレイしていると「RPGって実は音楽が目立たなくても良かったんじゃないか」という気すらしてくる。植松さんがどう考えたかは知らないが、これはこれで有り。

そんな中でも、大作RPGだけあって分かりやすい名曲はもちろん有る。「いつか帰るところ」と「Melodies of Life」は破壊的に良い。個人的にはビッグブリッヂとかザナルカンドより100倍良い。

聴く度に鳥肌が立つ。

と、ざっとプレイしてみて全体的にかなりいい感じだが、気になる所もある。

相変わらずプレイテンポは良くない。
イベントシーンがダレる。FF7で開花した(と自分は思っている)テキスト芸は健在で、会話も読んでいて楽しいが、長い。キャラ付けに喋りと身振り手振りが必要なのは分かるが、例えば「おじゃる」「ごじゃる」を連発する兄弟みたいな奴(名前を忘れた)は特にクドく感じた。途中から「もうお前らのキャラ十分分かったから!」という気になってくる。
革命的に軽快な演出チューニングを誇るライブアライブのプレイ動画を直前に見てしまっていたので、余計にそう思うのかもしれない。

バトルシステムはいたって普通。だが自分は王道RPGのバトルに革新性は求めないので全く問題無い。空っぽの特技ウインドウにじわじわアビリティが埋まっていくのが快感でしょうがない。

という感じでファーストインプレッションはほぼ最高に近い。早く次に進めたくてしょうがない。

リマスター版の変更要素

リマスターでの独自機能についても触れておく。

戦闘の冒頭演出カットターボモードは素直にめちゃ嬉しい。PSオリジナル版ではバトルテンポが壊滅的と言っていい出来だったが、これが一気に解決する。というかターボモードが無かったら今回FF9やって無かったと思う。
「システム都合のロード待ち時間」とか、「非効率なマップに起因する移動時間」のような、RPGの本質とは異なる部分のストレスを軽減できるのがかなりいい。

ただターボモードは人間では対応が不可能な程に早くなってしまうので、ON/OFFの緩急をつけざるを得ない。もしかしたら、最初から最後までターボでやり切って欲しくない、という意図で敢えて爆速にしたのかもしれない。

キャラの高解像度化もグッド。

「キャラが浮いてる」とあまり良く評価されていない向きがあるが、自分は「オブジェクトが見やすくてええやん」としか思わない。全てが高解像度化し過ぎて何を操作しているのか分かりづらいゲームより、ゲームとして優れているとすら思う。

後、リマスター版の追加要素として、いきなり最強になれたり、所持金MAXとか、敵とエンカウントしない、というモードが選択できる。一度やると解除できない。戦闘はスキップしてストーリーだけ楽しみたい人向けな気もするが、これをやるとプレイ動画を見るのと変わらなくなってしまうので今回は無視しておく。

という事で、RPGの手触りを味わいながらバトルは控えめで、という今回の自分にはかなりフィットしたチューニングになっている。ありがたやー。

10時間プレイして

クレイラの街という世界樹みたいなところに来て、アントリオン(懐かしい)をやっつけたところ。PS版だとDisk2入ってちょっとしたくらいらしい(という事を確認するためだけに初めて攻略サイトを見た)。

さて、ファーストインプレッションで感じた良いポイントはだいたい保ちつつ、さすがに10時間も経験すると、ちょっと気になるポイントが出てくる。

なんか暗い
ここんとこずっと敵に攻められたり捕まったりばっかりしている。「序盤にとにかく敵に攻められる」という展開はFF4でもFF6でも似たようなもんだが、FF9では表現力がアップしているため余計に悲壮感が出ている。正直、ちょっとワクワク感が薄い。

こういう時、ほぼ唯一の人格者であるジタンがパーティを切り盛りすれば話に花が出るはずだが、どうも仲間が増えてから聞き役に回る事が多く、かなりもったいない。
その割に、どうでもいいおじゃるごじゃる兄弟の方が喋る喋る。全体的にテキスト配分が惜しい。

スタイナーがくどすぎる
理由がさっぱり分からないのだが、自分は「IQの低いおっさんの剣士」をやたら好む傾向があり、DQ4のライアン、FF6のカイエンに続いてFF9のスタイナーがすごく好きだ。愛らしいという感情が近いかもしれない。
そんな自分ですら、スタイナーのガーネットやジタンに対する絡みがかなり鬱陶しい。キャラ立ちを狙ったのは分かるがやや嫌悪感を覚えるレベルで執拗。ストーリーが暗いので、こいつの天然ボケ要素を強調したら数少ない笑いポイントになりそうなものなのに、惜しい。
とはいえ既に、彼が人間的成長を遂げるであろう伏線がわりと貼られており、ゲーム後半がかなり楽しみだ。

クジャが出てくるとテンションが下がる
FF7でセフィロスという歴史的悪役を生み出してしまったスタッフがそれを超える敵キャラを作ろうと意気込んだのかは知らないが、かなり際どいハイレグ姿の色男というのはちょっとやり過ぎ感がある。突き抜けすぎていて魅力以外の何かが出てしまっている。
重要キャラを好きになれない、というのはプレイしててちょっと辛い。

格好も言動も変質者のそれに一致している。

まだ世界が狭い
10時間やってもなおフィールドの探索感がほとんど無い。近所に点在する街やダンジョンを一つづつアタックする、の繰り返しでフィールド自体にあまり意味性を持たせていない。正直フィールドが無くても成立してしまうバランス。物語が進んだらこれがどう発展するか興味がある。

ドラクエには無い第三者感
ジタンとフライヤが再開した際に、お互いの昔を知っている前提の会話をするシーンがある。プレイヤー(私)が持っていない知識で勝手に喋りだす主人公を見ると、一気に「あー自分は第三者なんだな」と思ったりする。これはとてもFF的な表現で、ドラクエでこんな設定はほぼ思い当たらない(ドラクエ5のビアンカ初対面の時くらいかな)。
もちろん優劣じゃない。自分はどっちも有りだ。話さえ良ければ。

惜しい所ばかり書いてしまったが、相変わらず次に進めたい気持ちが勝るのは大作としてのバランス感覚だなと感じる。

既に4,500文字近く書いており、クリアする頃には10,000文字を超えている気がする。

20時間ほどプレイして

現在、プレイ21時間。開始から12日目。
船をゲットしたところで、Disc3枚目の序盤に該当する。ストーリー的には折返し地点は超えたかもしれない。

この10時間は、とにかくストーリーが良かった。
一通り仲間が揃ってからは話の焦点がようやくジタンに戻ってきて、話の凹凸を純粋に楽しめるようになった。このゲーム、ジタン以外のキャラがほとんど全員ネクラ過ぎるので、彼を語り部にしないと話が凹ばっかりになってこっちも落ち込んでしまう。

前半のハイライト、ブラネの死からアレクサンドリア襲撃のくだりの焦点はガーネットなのだが、それをあくまでジタンの視点に立って「ジタンがガーネット守る」、ガーネット即位時に「ジタンが落ち込む」というように見せたのはいいチューニングだと思う。

旅先で色々とふさぎこむ事が多いビビに対して、ジタンは毎度「大人の男」として諭す立場をとるが、セリフが良くてこれらのシーンも好きだ。

あと、いつかくるだろうと思っていたスタイナーの人間的成長の瞬間は見ていてかなりテンションが上がった。

思ったよりこのシーンが早く用意されていたので、もう彼の出番は終わりなのかもと思うとちょっと寂しい。

ベアトリクスとの共闘シーンもなかなか胸に迫るものがあった。

ただ、唐突なラブコメ要素はちぐはぐな気がしないでもない。これやるならもう少し段階的に見せてほしかった。

ブラネ女王の設定にはかなり無理があった
このゲーム前半の最大のミスはこれだろう。
ブラネ王女の死とガーネットの立場の変化は間違いなくストーリーの大きな転機で、この後のジタンの葛藤もすごく心に刺さってくる…はずなのだが、ブラネ女王に同情できる余地がプレイヤーに全く与えられていない。
町人の話によると「最近はちょっと変だったが、昔は素敵だった」らしいのだが、プレイヤーがFF9を初めてからは最初から最後まで頭がイカれたおばさんとしか描かれていない。

加えてこのビジュアルである。人間であるのかどうかも怪しい。

むしろ彼女の死が爽快にすら思えてしまうので、画面上で大きく落ち込むガーネットとこちらの気持ちのギャップがとんでもない事になってしまう。


肖像画に悪意が有りすぎる。ギャグなのか?

ここの見せ方がまともだったらガーネットのヒロイン度がうなぎ登っていたはずで、相当に惜しい。前半だけの感想だと、これのせいでFF9は傑作と言われなかったのではとすら思ってしまう。この巻き返しを後半に期待できるのか。

残念ついでに言ってしまうと、世界地図を貰うのも早すぎた。
ストーリーとして大きな山場に来ているのは分かる一方で、世界地図でまだ行ってない土地が半分ある事が目に見えてしまっているので、どうしても「先にもっとすごい展開があるんでしょ」と思いながら見てしまう。
船をゲットするタイミングで地図ゲット、でも良かった気がする。

なんだが、人間的に一皮むけたスタイナーの後に続くように、ビビやエーコがちょっとずつ成長していっているのは見ていてとても良い。ストーリーの続きを見たいという気持ちに十分拍車がかかる。
ただ、サラマンダーだけは良く分からない。こいつも天然なのか?

背景デザインがむちゃくちゃいい
FF9の特筆すべき点だと感じる。


何度も言うが色がむちゃくちゃ綺麗。


たぶんゲーム通して数百枚という画像が用意されていると思うが、冗談抜きに全てのデザインが美しい。ここまで徹底されるともはや狂気めいたものを感じる。デザイナーに拍手。
これのおかげで新しい土地に行くのが楽しみになってくる。


召喚士の村でジタンとガーネットが話すシーンはかなり良かった。

ムービーも相変わらず綺麗

20年前の仕事とは思えない。テクノロジーによる画力は、アニメとかSFではなく、是非こういうファンタジーCGに全振りしてほしい。


アレクサンドリア襲撃時にジタンがガーネットを救出する場面、この直後のエーコの表情は演出としてかなり神がかっていたと思う。スクショ撮れなかったけど。

ついつい攻略サイトを見てしまう
プレイ10時間までは封印していたが、何かの拍子に見てしまった。
最強技のダメージ計算式を「ふむふむ」と見ていた時にイカンイカンと気付いて閉じたけど。当たり前だが、やっぱり攻略サイト見ない方がおもしろい。

レベルアップの補正システムはしんどい
攻略サイトで知ってしまったのだが、FF9はレベルアップ時に装備している武器防具の能力補正値に応じてステータス成長が優遇される、というシステムが採られている。
これのせいで、「レベルアップ直前にいちいち補正値のいい装備につけ直す」という作業が発生して、相当めんどくさい。RPGを素直に楽しみたいという気持ちにブレーキがかかる。
同種のシステムはFF6の召喚獣にもあったが、正直良いシステムとは思えない。普通に成長してほしい。
これはやり込み要素であると思って無視できたらいいのだが、一度知ってしまうとなかなかやめられない。知って後悔した。

ターボモードが鬼畜
ターボモードの扱いにかなり慣れてしまった。途中でコントローラーだけでON/OFFできる事を知ってしまってからは、移動時にON、イベント時にOFF、と切り替えてしまう。オリジナルに比べると相当楽しているはずだ。
これが当初の目的である「RPGの手触り感」を得る行為に抵触しているのではという気もかなりするが、同様に一度知ってしまうとやめられない。人間の業は深い。

扱いがジョーカーすぎるクイナ
こいつ、「向こうに逃げたモーグリがおいしそうだから」とかいう理由でパーティから抜けたり入ったりするのだが、RPGの宿命である「パーティ参加人数とストーリーの帳尻を合わす必要がある」局面で、過度に便利に扱われすぎている(制作者視点で)。

ネクラなパーティメンバーの中で珍しくポジティブ要素のあるキャラしてるはずなのに、あまりにストーリーの枠からはみ出過ぎていて、物語のスパイスとして認識できない。
今のところストーリーに全く絡んで無いのだが、後半でバケるのか?このままなのか?もしかしてラスボスなのか?


モブキャラにいちいち通り名がついている。こういう要素は地味ながらもほのかなポジティブ感を作品に与えるので自分は重要だと感じる。FF9が全体的に暗いので余計にグッド。

という事でプレイ20時間の感想は以上。現在7,000文字。

プレイ時間36時間

ゲーム始めて21日目。
ジタンの出生の秘密が明らかになり、パンデモニウムから脱出したところ。世界は霧だらけ。オリジナルではDisc4入りたてに該当する。いよいよ佳境という感じ。ジタンのレベルは44。

前回の更新からだいぶ時間が経ってしまった理由は、ひたすら雑魚狩りをしてアビリティポイント収集する、という事をやっていたからだ。

これは少しでも戦闘を有利に進めるため…ではなく、単にレベルアップの度に装備に付け替えるのが面倒すぎて堪えられないという理由で、先にアビリティを全部ゲットするという作戦に出てみた。この作業だけにたぶん7-8時間くらい費やしているので結局どっちの方がめんどくさかったのかは良く分からないが、自分はこっちの方が性に合っている。
自分の価値観に沿ってプレイできるのがRPGの醍醐味であるはずだ。

ターボモードが神の如き働きで、さらに良くない事に、自分の持っていたUSBコントローラにたまたま連射機能が備わってしまっている。○ボタン連射状態にしてグルグル回ってるだけで、生き血を求めるジタン達がとんでもないスピードでザコ敵をなぎ倒していく。
時間を測ってみたら通常スピードよりターボモードの方が2.5倍くらい早かったので、同じ事をオリジナル版でやったら20時間くらいかかる計算になる。悪い事をした気分になってくる。

ここで誤算が一つ。
特に理由は無いが、狩場として選んだリンドブルムの土竜の門(最初のク族の沼周辺)、このあたりで出現するムシュフシュという敵がドラゴン族に属するらしく、こいつを何百体と倒してしまったせいで、フライヤの技「竜の紋章」のダメージが9,999固定になってしまった。バランスが壊れすぎるので封印している。
(竜の紋章のダメージ=ドラゴン族のモンスターの討伐数の2乗)

以下、この15時間の感想。

戦闘パーティのバリエーションが画期的

パーティが成長して来て分かった事だが、戦闘の補助魔法が色んなキャラクターに振り分けられている。地味ながらこれがすごくおもしろい。
補助は魔法キャラが一手に引き受けるというこれまでのRPGのお作法に反し、今作では、例えば敵の攻撃力とか防御力ダウン等の補助スキルが戦士キャラであるスタイナーの役目になっている。他にも、竜騎士(フライヤ)やモンク(サラマンダー)に回復スキルが備わってたり、従来のジョブシステムの傾向とは一線を画すスキル配分。
これのおかげで戦士系同士や魔法系同士の上位/下位互換、みたいな概念が無くなり、本当の意味で戦いたいスタイルに応じて柔軟にメンバーを組む、という遊び方ができる。パーティメンバーを考えるのがかなり楽しい。DQ4のライアンやFF6のカイエンというおっさん剣士がもれなく脳筋キャラだった時代に比べて、RPGシステムとしての進歩を目の当たりにした気分だ。まぁそれでもこれ、20年前のゲームだけど。

なんで2000年まで気付かなかったんだという気がするが、かなり画期的なシステムだと感じる。

雑魚戦がいちいち緊張する

普通のRPGみたいにバシバシ攻撃したら勝てるだろ、みたいな感覚で戦ってたらすぐ死ぬ。忘れ去られた大陸上陸時に顕著。

勝手な想像だが、たぶん、技術制約で1回の戦闘時間がやたら長くなりすぎた→エンカウント率を大幅に下げ→その代わりに1回あたりの戦闘を重くする、という調整をしているように思われる。その影響か、1回あたりの経験値が乱暴に多く、3回くらい戦ったらホイホイレベルアップしてしまう。
1つのダンジョンでエンカウント5回くらい。うーん正直、RPGやってる感は薄い。

しかし結局ハック出来てしまった

流石に30時間もやっているとパターンみたいなのが分かってしまう。わりと簡単に習得できる「いつでもリジェネ」がチート性能で、ホーリーとかフレアを唱えたら長ーい演出時間中に勝手に全員1,000くらい回復してしまう。まず死なない。
そしてフライヤが毎ターン「ホワイトドロー」使ってるとMPも尽きない。永久機関が出来てしまった。
中ボス戦ですらほぼ完璧に安定するので安心してジタンが盗み続けられるのだが、戦闘の緊張感はほぼ無くなってしまった。

パンデモニウムのジタンイベントにはさすがにグッと来る

スタイナーやビビ、ガーネット達が少しづつアイデンティティを見つけて来た旅の最後に、ついにパーティ唯一の真人間であるジタンの出番が来た。
これまでの伏線の貼り方は結構見事だと思っていて、序盤では魔道士の村で「故郷を探している」と打ち明け、中盤ではウイユヴェールで「ジタンにしか読めない文字」が現れたりと、「普通に生まれた人じゃ無いんだろうな」というのが徐々に分かって行くように設計されている。
普通の人間以外にもネズミ族や黒魔術師といったいろんな亜人種による複合社会を見せて来た事が、ジタンのような「尻尾の生えている亜人種」の特殊性をカモフラージュする事にも一役買っている。制作側が狙った事なのか知らないが、物語の途中のどこかで、プレイヤーがふと「ジタンみたいな尻尾人間、他にいなくね」と気付くようになっている。その事が直接語られないのが良い。

輝く島に入って、その疑問が一気に氷塊していく様子はRPGならではのドラマ性がある。
16歳という年齢からは想像もつかない恐るべき人間成熟度を誇り、ビビやガーネットなど(というかクイナ以外のパーティ全員)の悩める子羊を諭し続けてきたジタンの落差が破壊的に伝わってくる。かなり衝撃的だった。

ここで流れるBGM「ひとりじゃない」は楽曲単品でそんなに好きな部類じゃないけど、この演出と一緒に聴くと「この音楽しかありえない」とまで思えてくる。全体的にイベント演出が惜しいFF9にあって、さすがにここはかなり力が入っている。
スクショ撮り忘れたけど、フライヤとかサラマンダーが1人づつ戦闘に助けに来るシーンはFF4ラストバトルを彷彿とさせるもので、これもすごく良かった。

1つだけ欲を言えば、立ち直るのが早すぎた。
自暴自棄になってからパーティに説得されて立ち直るまで、たぶんプレイ時間20分くらい。「あ、意外とあっさり立ち直るんや」と思ってしまったのは事実。間違いなくFF9ストーリーのコアだし、落ちっぷりが半端では無かっただけに、復活も重たくしたらより感動的だったのに。FF7のクラウドみたいに、数時間パーティから離脱させても良かった。

でも、立ち直ったら立ち直ったらでジタン節が炸裂してまた良い。特にこのシーン。

本当に良いセリフだと思った。

多くの人がこれからおまえをそう呼ぶよ

アイディンティティの確立における「名前」と「他者性」の関係を一発で表現し、加えてその未来に明るい期待感を残す神ライティング。分からない事はとりあえずポジティブに考えておく傾向があるジタンがこれを言うからなおさら感極まる。史上RPGに残る名セリフとしてカウントしていい。
アイデンティティを扱うストーリーテリングにあたって「名前を問う」という演出は特に新しいものではないが(初代ペルソナなど)、このセリフのおかげでFF9に一気に特別感が出てきた。素晴らしい。

エーコとモグの別れもグッとくる


喋れないモブキャラが主人の危機に体を張って助ける、というのはダイの大冒険で言うゴメちゃんと全く同じ設定で(最後だけいきなり日本語を喋り始めるところも同じ)、ベタベタではあるが良いものは良いのだ。

喋れなくなるガーネットに全然ハイライト感が無い

Disc3はストーリーの見どころが多かったが、唯一、ガーネット周りではまたしても残念な事があった。ガーネットが喋れなくなる事にストーリー的な意味付けがほとんど無い。
祖国が襲撃されて思い悩んだ末に喋れなくなるという展開はベタだがファンタジーとしてすごく良いのに、例えばそのせいでジタンと心の壁が出来てしまう、とかそういうイベントが一つも用意されていない。戦闘中に行動ミスするという変化しか無いので、同情するよりもプレイヤーを苛立たせる事にしか影響していない。なので復活しても特に感動しなかった。というか、何がきっかけで言葉を取り戻したのかすら良く分からない展開。
上で述べたブラネ女王の死とも問題は同じで、このガーネット、ヒロインとしての強度が全体的に弱い。

ここがドラマチックにできてたら、「言葉を取り戻したガーネット自身の言葉でジタンが立ち直る」という展開で10倍感動できたはず、とかどうしても考えてしまう。


その後の髪を切るシーンのムービーがかなり良い出来だったので、本当に残念。
関係ないけど、黒髪の質感のCG表現の完成度が高すぎて驚愕した。

サラマンダーが良くわからない

このキャラ、「仲間とつるむより一匹狼の方がベストである」というポリシーで行動しているっぽいのだが、現代社会人にとって全然共感できない価値観である上に、彼がそういう思想に至った経緯説明が無いのでかなり浮いている。似たキャラクターにFF6のシャドウがいるが、彼の場合は夢でコンテキストがちゃんと説明されていたのだが。

そしてとあるダンジョンに着いたなりいきなり自己主張し始めてパーティから離脱したかと思いきや、その後落とし穴に一人で落ちて「うぐぐ…」とか言っている始末で、制作側がこいつをどういうキャラにしたかったのかちょっと分からない。
もはやクイナの方が行動原理が分かりやすくて共感できてしまうレベルだ。

驚くぐらいフィールドが寂しい

飛空艇をゲットして爆発的に行動範囲が広がる瞬間はRPGのエクスタシーの1つのはずだが、世界を巡ってみてびっくりした。残り2つの大陸にほぼ何も無くて、新しい街が一つぐらいしか無いでやんの。
FF9の暗ーい感じに拍車がかかっている。

グルグ火山の音楽

FF1のBGMのアレンジにはかなりグッと来た。おっさんにしか分からないだろうけど。

という事でプレイ36時間の感想は以上。現在11,000文字。
惜しい所も散見されるが、ジタンのハイライトぶりが物語をドライブするに十分な出来だったので、この話をどうエンディングでケリつけるのか楽しみでしょうがない。

50時間プレイして~エンディング

あれから3時間くらいであっさりラストダンジョンの最奥までついてしまった。


最終決戦の前にかつての仲間が集うという演出は今までの人生で星の数ほど見てきたが、やはり良いものだ。なんなら全てのRPGでこういうシーンを入れてもらっても構わない。全部感動できる自信がある。


相変わらず背景CGが美しいの一言なのだが、

ラスダンがあまりに一本道なので、エンカウントしなかったら10秒で1枚消化するというかなり勿体ないリソースの割き方になっている。良く言えば贅沢とも言える。
クリア後に知ったが、FF9の主な開発は当時のホノルルスタジオで、グラフィック特化チームだったようだ。どうりで。

近頃はクジャを倒すという使命感が前面に出過ぎていて、ジタンとガーネットのボーイミーツガール展開がなりを潜めているのが気になっており、一刻も早くこれをどうエンディングで処理するのか見たい衝動に駆られる。

なのだが、「アビリティに空欄を残したままラスボスと戦うのは無礼では無いだろうか」という気がしたので、ここで踵を返しサブイベントに着手する事にした。攻略サイトを半分解禁する。

チョコボの宝探しが鬼

本編の攻略を進めたいのにストーリーに全く関係ないサブイベントを強制するという設計自体にやや言いたい事はあるが、そんな懸念を軽くふっとばすくらいこのミニゲーム自体がやばい。

  • プレイ自体に爽快感が無い上に
  • ほぼ運ゲー=プレイヤーが習熟しないだけでなく
  • その割にやたら手間がかかる

ゲームで抑えておいて欲しいポイントをことごとく外しにかかっている。「クエエエ!!」と叫ぶ割にお宝に全然ヒットしない時のストレスで、画面上のチョコボの首を締めたくなる衝動に駆られた。何を意図したチューニングだったのか謎。

途中からターボモードを駆使して6時間かけてコンプ。これ、通常スピードでやったら少なく見積もっても20時間はかかる気がする。やばい。

ヒビの位置「シアウェイズキャニオン西部」だけは30分探しても見つからなかったので攻略サイト見た。
【FF9】チョコボのお宝探し!ヒビとアワから超貴重なお宝をゲットしよう! | あらゆるゲームのトロコンを目指すブログ!
これは鬼畜すぎんか…。

名誉のために言っておくと、これ以外のお宝は全部自力で見つけた。攻略サイトにお世話になる部分と自力で解きたい部分の境界が自分でもよく分かっていない。

モグネット本部復活

ターボモードの恩恵に預かり30分で完了。

クリアして分かったが、このサブイベント、アビリティを埋めるのには関係無かった。が、手紙をせっせと仕分けするモーグリがやたら可愛かったので良かった事にする。

トレノのオークションとエクスカリバー

これもターボモードで30分で完了。
途中、黒魔道士の村でオルゴールイベントもしっかり行っておく。FF3のBGM「ドーガとウネの館」が流れてちょっと感動した。

この小ネタ以外にも、FF9は隠しイベントのヒントが本編に全く無いという鬼仕様。「ネット情報が無いと無理すぎるだろこれ」と思ってたら、そもそも当時の坂口さんには「インターネットでユーザー同士で情報交換しながら攻略を進めて欲しい」という意図があったとのこと。
まんまと術中にはまっている。

ハーデス撃破

初見ではこてんぱんにやられたが、対策したらほんと楽勝。ジハード対策の闇属性防御と、熱せず冷ませずを全員につけてれば全滅する事は無いと思われる。

青魔法コンプ

クイナをスタメンに起用していた中盤までは、出会う敵を律儀に(?)食べていたので、すでに24個中14個ゲット済。残り10個。
長期戦を覚悟していたが、意外と1時間ちょいで揃ってしまった。カエル100匹集めは面倒なのでやってない。

ついでにステラツィオも制覇しておいた


街のただの藪の中に重要アイテムがしれっと隠れている。誰が気付くねん。
13個目の謎解き、こういうの得意だと思っていたけど全然分からなかったので自力で解くのを断念。自信無くした。

全アビリティゲット

全ての準備は整った。トレノ周辺で雑魚敵を目にも留まらぬ速さで狩りまくって全アビリティ習得。
チョコボの宝探しを始めてからだいたい10時間。攻略サイトを駆使したとしても、ターボモードが無かったらこの工程だけで40時間以上はかかる気がする(その内ほとんどがチョコボだろうけど)。
悪い事してる気がするが、それでもこの手で実際に攻略したという事に意味があるはずだ。多分。

ついにラスボスと対面

開始から29日目にしてプレイ時間50時間ちょい。ジタンのレベル57。
最終パーティはこんな布陣。

このスクショを見た今、スタイナーが後列になっている事に気付いた。なんでだ。ショックで9,999ダメージを繰り出す勇姿が目に焼き付いていて気付かなかったという事にしよう。

ラスボスの「誰だよお前」感が未だにネタになっているらしいのだが、FF3やFF4と大差無い気がする。自分がズレているのかもしれない。

まぁ予想していたが、あっさり勝ってしまった。つい「弱っ」と声が出た。というかよく考えたらこいつ、ジタンの盗み待ちをする必要が無いので最初からバカスカ猛アタックしていい記念すべき最初のボスだったので、最もストレス無く撃破する事ができた。皮肉な事だ。

エンディングやばい

何というか…

エンディングの出来として、ほぼ完璧と言っていいのでは無いでしょうか…

めちゃくちゃ感動しました。歴代RPGエンディングでトップ5には入りました。


まずここ。このセリフのライティングは冗談抜きに人間業じゃないと思った。
これはどんな難題も前向きにクリアしてきたジタンが、初めて生きて帰る事を諦めているシーンである。ジタンがあれほど嫌っていた王族属性を持ち出して自分を諦めさせに来ているガーネットの気持ちになると辛い上に、同時に流れ始めるMelodies of Life(のアレンジ)が破壊的に泣かせにくる。
頭では「ファンタジーだしほんとに死ぬ事は無いだろう」と分かってはいるが、その自信さえ薄まるような感覚を覚える。

この直後、2人に背を向けるスタイナーもめちゃめちゃ良い。ここで茶々を入れない態度そのものがスタイナーの成長を完璧に表現している。FF9は全編通して、「この価値観やコンテキストを持っている人間だったら、確かにこの場面でこの行動をとるよな」という描写がとても核心をついている。絵がリアルである以上に、こっちの方がよっぽどリアリティがある。

ジタンが生死を賭けて最後に救う対象が一向に好きになれなかったクジャかよ、という展開にちょっとだけモヤっとはするが、この感動で余裕で乗り切れる。


追い打ちのようにビビが「停止する」事が示唆される。その事実とは裏腹に、セリフ全体から多幸感が滲んでいて、本編で「生」に対する確信を持てていなかったビビにも答えが見つかった事が分かり、我々に安心と悲しみを混ぜた感情を与えに来る。ビビは歴代FFで初めて「幸せに死ぬ」ことが描写されたキャラクターでは無かろうか。そういう意味でFF9のテーマである「人間讃歌」は、ビビに最も現れている気がする。

…なのだが、自分は初見ではこれがビビのセリフだとはっきりとは気付けず、Wikiを見て知り慌ててYouTubeでエンディングを見直した人間である。自分の鈍感さを呪う次第である。

そしてそれに続くジタンとガーネットの再開シーンは、ファンタジーとして完璧な筋書きであり、完璧な演出だった。


ガーネットのこの表情で、FF9やって良かったと冗談抜きに確信できる。これを描いてみせたCGスタッフに賛辞を惜しめない。神業。今まで散々「FF9の最大のミスはガーネットのヒロイン強度が弱い事だ」と主張して来てしまったが、このシーン1発でお釣りがジャラジャラ出るほど考えを改めた。今まですみませんでした。

プレイ開始からこれまでずーっと暗い話が続いて来たせいか「ストーリーがなかなか良い」くらいの評価をしてきた今作が、このシーンで一気に「特別な作品」になる。このタイプのエクスタシィは他の作品で経験した覚えが無い。この表情はさすがにドット絵で表現できないので、ドット絵RPGを信仰してきた自分がようやくモダンRPGでも感動できたという喜びもある。まぁこの作品が出来たの20年前だけど…。

表情の描写で素晴らしいと思ったのは最近だとドラクエ11のベロニカがある。ドラクエ11も人生最高クラスに感動したので、RPG表現のこれからの核は人間の表情なのではと思ったりする。ぜひ和製RPGには技術とリソースをこのように使って頂きたい。

このCGパートは最初から最後までケチのつけようがない。扉を開けてジタンに会いに行くの促すをスタイナーとベアトリクス、ティアラをぶん投げるガーネット、掲げられる「セイブザクイーン」、そこから流れ始めるMelodies of Life、つなげてのFFメインテーマと、スタッフが容赦なく何重にも泣かせにかかってくる。
Melodies of Lifeとメインテーマがあまりに際立っているが、ガーネットが駆け出すシーンで流れるオーケストラ録音の音楽も神業的にいい仕事している。シーンに合わせて編曲されていてSFC時代のRPGには出来ない表現だし、何よりもこの演出自体が舞台音楽のようで、舞台から始まったFF9でやるからこそ意義が深い。

書いているうちにテンションが上りきったのでいっそのこと動画を載せておこう。

寄せられたコメント見てるだけでも泣けてくる。

自分にとってRPGというのは「考えさせるエンドほど良い」という価値観があって、「天地創造」や「クロノクロス」や「フロントミッション」が至高である、みたいなところがあったけど、大団円エンドで感動できる作品に初めて出会えた気がする。
今考えたら、RPGの円満エンディングにはどうしてもチープさを感じてしまうからだったかもしれないが、一方でFF9という作品は、作中に重ねてきた「人間の表現」の行き着く先に、最後のガーネットの表情でハッピーエンドを見事に表現し切った作品という事なのかもしれない。

という事で最高でした。この作品に出会えて良かった。制作スタッフに敬意を表します。

どうでもいいおまけ:オズマ戦

それなりに安定する戦いが出来ていたが途中のメテオであっさり沈んでやる気が無くなった。ペルソナ2の戦闘バランスでも同じ事があったが、こちらの戦略を無視する運要素はあんまり好きじゃないなぁ。

という事で15,000文字書きました。が、もうちょい続きます。

FF9の総括

冷静になってからそのうち書きます。