先日たまたま知ったのですが、このimasashi.netというインターネットの辺境でマイペースに生息しているサイトの運用が開始されたのが、2010年5月1日だったようです。という事で本日、10周年を迎えました。
なお5月1日は奇しくも結婚記念日でもあり、本日2020年5月1日は結婚1周年とサイト10周年が同時にやってきた日という事になります。おめでたー。
妻が「じゃあ3人でお祝いしよう」と言うので、もう1人は誰だと尋ねると「ブログさん」という返事でした。意味は分かりませんでした。
コロナ時代なので結婚記念は家で粛々と祝うとして、ここではこのサイトの10周年をセルフお祝いするという名目で、振り返りをしてみます。
数字で見るimasashi.net
まずは俺以外の誰にとっても意義の薄いデータ集からです。
書いた記事数:464本
1ヵ月に3.87本、7.87日に1本のペースで記事を書いてきたようです。
年ごとの推移も出してみました。
2017年に向けて明らかに下降していたモチベーションが、2018年からモリモリV字回復です。何があったのか自分でも分かりません。
ピークだった2011年前後は、毎月100時間以上の残業が常態化しているほど仕事が忙しかった上に定期でバンドもやっていたのに、何でこんなに記事を書けていたのかについても疑問が残ります。若かったからとしか言いようがありません。
なおここでいう1年の期間は、1月1日~12月31日ではなく、5月1日~次の年の4月30日、としています。これを便宜上「年度」と呼んでおきます。以下同様。
あと、2010年以前に記事がありますが、このサイトの前に別でやってたブログ記事をそのまま引っ越ししたものがカウントされています。
なお、現時点で下書きが139本あります。
書いた文字数:82万1542文字
全ての記事の文字数を集計しました。クソ疲れました。
本を一冊書くのに必要なのが80,000文字とからしいので、10冊本が書けます。ちょうど1年で1冊分という事になりますね。
同様に、年度ごとの推移も出してみました。
書く量が年々増加傾向にあります。歳をとって話が長くなるおっさん現象をこの目に突きつけられた気がします。態度を改めようと思いました。
PVの推移
恥ずかしいので数は伏せますが、こんな推移です。
10年分振り返りたかったのですが、Google Analyticsに2013年8月以前のデータが残っていませんでした。
さてピークの2016年以降、記事を書けども書けども集客ができない、という状態が続いているようです。
Google Analyticsで少し詳しく見てみると、閲覧数が多かった記事への訪問数が軒並み減っているという現象が起きていました。何となく、記事の鮮度がGoogle検索結果に影響するというのは分かっているのですが、それにしても1年で半減した記事も結構あり、もしかしたら検索アルゴリズムのアップデートに追いつけていない可能性も予感されます。
規模感については、いちおう1年で2桁万PVくらいの規模です。
モバイルの割合の推移
…を出したかったのですが、Google Analytcsが過去2年分くらいしかデータを持っていなかったのでやめました。その代わり2020年5月現在のスマホ比率は60%強くらいという事だけ記録しておきます。
いやーほんと、とにかくスマホが増えました。10年前は仕事で「ガラケーでFlashが使えるようになった!すげー」とか言ってたのがもう嘘のようです。
読まれた記事トップ5
10年間で集めた累計PVのトップ5はこうなりました。
1位
数年前まではGoogle検索で「ウッドベース」でこの記事が1位だったんですよねぇ。似たような記事がポコポコ生まれてきてランクが下がってしまいました。
2位
コーディング系の記事は当たり外れがかなり大きい中、なぜかこれはやたら読まれています。タイトルが良かったのかな。本業コーダーじゃない自分の技術記事がこんなに読まれて、果たして社会的にいいのだろうかという気もしています。
3位
毎年、年末になると急にPVが上がってくる記事です。が、流石に古いので年々訪問者は減ってきています。
4位
今回集計して初めてこんなに読まれていると知りました。大して世のためになる事を書いていないので、この病気を控えて不安な人のために書き直そうかなと思う次第です。
5位
当ウェブサイトで唯一バズった記事です。今はほとんど読まれていないのにトップ5に名を残すあたり、バズるという現象の破壊力が見て取れます。
こう見ると、系統がてんでバラバラですねぇ。ライフログだからいいのです。
何でこんな事をやり続けているのか
たまに「何でそんなに律儀にブログやってるの」と聞かれるのですが(主に妻から)、大した目的意識は無く、何かを生み出す行為がただ単純に楽しいというだけで10年やって来ました。
インプットよりもアウトプットする事の方に振り子が振れすぎているのが自分の習性なのですが、一時期まではそれが音楽だったものの下手が故に費用対効果が低い事に気付いてからは、もっぱら書くという行為がローコストだし自分の性に合っている気もします。
もう一点、かなり強いて挙げれば、自分が90歳くらいになって病床に伏した時に自分の人生を見直すのも良さそうだなと考えているところもあります。が、これを言って理解を示してくれた人は今のところ1人もいません。
それくらいの目的意識なので、「自分のライフログ」というコンセプトが一番しっくり来ています。
脱線。昔考えていたコンセプト
という感じで今はマイペースにやっていますが、立ち上げ当初はもうちょっと下心がありました。具体的には以下のようなコンセプトを意気込んでいたものの、全てダメでした。
- 楽器やエフェクターのレビューを広める
→ レビューを適切に言語化するだけの音楽センスが無かった上に、機材をほとんど買わなくなった。 - 日々接したゲームや映画のレビューを広める
→ 映画を批評できるほどの知識が全く無かった。ゲームはかろうじて書けるくらい。 - 自分の作品、イラストやオリジナル曲や写真をギャラリーとして展示する
→ どれも一切やらなかった。 - UIの実験をやって、行動のデータを収集して仕事に役立てる
→ 有意なほど人が来ないし、そもそもプロジェクトでABテストするようになった。 - その結果有名になり、自らの批評思想を世の中に広める
→ 全然有名にならない。それどころか言論を文章化するのが面倒くさくなった。
当初の目的は見る影も無いのですが、それでも軌道修正しながら書き物は続けられる。この柔軟さが個人ウェブメディアのいいところだなぁとしみじみします。
ブログをやってて良かったこと
10年も続けている事なので、当然、何かしらのメリットが存在します。
ウェブサイトの設計が分かる
ちょっと前までは私の飯のタネはIA(情報設計)でして、ワイヤーフレームを死ぬほど書いて来ました。
で、ワイヤーフレームを書くのにWordPressでサイト制作してきた事がむちゃくちゃ活きるんですよねぇ。設計してる段階で、運用しやすいコンポーネントの単位とか、無理なくコーディングできるレスポンシブUIとか、classを使いまわす事で応用できるUIのパターンとか、クライアントの希望がHTMLでは実装不可能な事とか、が全部分かってしまうのはかなりのアドバンテージになりました。正直、自分の給料の30%くらいはWordPress運用の経験から来ている気すらします。
ひどい時には、アサインしたコーダーさんよりも自分の方がHTML知ってるという事があって、コーディングの納品ガイドラインを自分が全部書き直したという事もありました。
Googleのツールの事が分かる
Google Analytics、Search Console、PageSpeed Insights、Tag Managerあたりは結構お世話になっています。
昔はこういうツールって個人サイト向けという趣向が強かったものの、最近は上場企業のメガサイトでも普通に入れられてたりします。で、プロジェクトで必要になってからわたわたとツールの事調べたり専門家を呼ぶよりも、「ああ知ってますよ」となった方がとにかく話が早いです。もちろん突っ込んだ結論を出す時は専門家にお願いしますが、そもそも何のツールを使えば何が分かる、という前さばきができるのはかなりプロジェクトディレクションに有効でした。
今のようにData Analystという職種が存在しない時代は、アクセスレポートって「何となくディレクターがついでにやるもの」という位置づけだったりしましたが、当時から自分のサイトでガリガリGoogle Analyticsを運用してましたので、「何かあいつGAに詳しいぞ」となり、月に5,6クライアント分のレポート用の集計してた事もあります。
ブラウザバックの挙動の検証したこの記事とかは、業界の一部ではよく読まれていたようです。知り合いの業界人に感謝された事もありました。
この頃は、趣味が仕事を生み、仕事で分かった事を記事(趣味)にする、と趣味と仕事がかなり循環していましたねぇ。
Google検索の動向が何となく分かる
自分は集客の専門家では全く無いのですが(専門家だったらもっとこのサイトがメジャーになっているはず)、それでも、どの階層に人はランディングしやすいかとか、titleの付け方でPVが結構変わる事とか、PCとスマホでキーワードの検索傾向が違うぞとか、ロングテールに集客できるコンテンツと一発花火型のコンテンツがあるぞとか、Googleがアルゴリズムアップデートしたみたいだぞとか、そういう勘所が分かる事もウェブサイトの全体設計を考える上で有用でした。
言い換えれば、Google Analyticsのグラフを眺める事を通じて、何となく世の中を見ている感覚です。
仕事では「保証はできないけど設計者として努力はできる」という塩梅でしょうか。ワイヤーフレームの設計ひとつとっても、「この画面には2020年現在だと多分こういうルートでユーザーが来る」という意識で設計してましたし、クライアントにそういう説明すれば理解してもらいやすいものでした。
あと、盛者必衰じゃないですけど、コンテンツというのは流行り廃りがあるなぁという事がダイレクトに感じれるのでおもしろいです。
昔のウチのPV稼ぎ頭は上でも紹介したこの記事でして、
一時期はGoogleで「ウッドベース」検索で1位だったんですよねぇ。かなり嬉しかったです。が、類似記事も出て来て検索順位で押されたりして、今は最盛期の1/5くらいの訪問数になりました。
思いつくメリットはこんな感じです。
自分で書いてて驚きましたが、得られたメリットが仕事目線のものしかありませんでした。仕事好きというのもありますが、それ以上にブログ書く事にそんなにメリットが無いのかもしれません。
ブログをやるデメリット
とにかく時間がかかるのは間違いないのですが、それ以外に特にデメリットは感じません。
- 記事を1本書く時間をかなりなんとなく平均2時間とすると、執筆時間で合計928時間。
- それ以外に、気が向いたらデザイン変えたりテンプレート変更したりするのに年間20時間とすると、10年間で200時間。
合計1,128時間。
計算してびっくりしましたがぴったし47日分となりました。
私の人生の1.29%をこのサイト運営に費やして来たようですが、体感値よりだいぶ低いので本当はもっと記事に時間を割いている気もします。
その時間を全て英語学習や楽器練習に充ててたら今頃は…と思ったりもしますが、人生とはそういうものではない。
集客は気にしない
自分が素で書き物をしても世の中でメジャーにならない事はとっくに分かっているし、だからと言って集客狙いで「自分のライフログ」という目的に沿わないものを書く時間を割く事にどーしても興味が持てないので、集客は諦めています。Google Analyticsは毎月見ていますが。
タイトル付けをちょっとだけ意識するくらい、のカロリーのかけ方がちょうど良いです。
noteとかはてなで書かないの?
集客を第一にするならああいう場で書き物する方がいいのは自明ですが、それよりも自分のコンテンツは自分で保持しておく事の方が優先度が高いです。
上で書いたように90歳になるまで維持し続けるつもりなので、賞味期限のあるメディアにコンテンツも依存させとくよりは、メディアとコンテンツをいつでも切り分けられるようにしておきたいです。
まぁレンタルサーバーで管理しているので厳密には自分のものとは言い切れないのですが、この境界は分かる人には分かるはず。
後は、HTMLやCSSをいじるのが好きなので、他人のメディアだと窮屈に感じるというのもあります。
なんで匿名なの?
自分で質問文を書いといて答えに困りました。なんとなくです。
このサイトもTwitterも自分の素でやってる事なので、ネット上に別人格を設けるという意義は全く無いのですが、なんででしょう。恥ずかしいからでしょうか。
印象的なイベント
特に社会に影響を与えないこのサイトですが、思い出になっている事がちらほらあります。
結婚を祝ってもらった
結婚報告をしてみたら、匿名の方にお祝いのコメントを頂きました。これは、なんかむっちゃ嬉しかったです。
1回だけバズった
上のPVランキングにも登場したこの記事が、なぜか突然バズりました。
ただタイミングが私が思いつく限り最悪でした。プロジェクトの炎上が確定した瞬間と同時だったのです。
どうやってクライアントに説明するんだとか打開策をありったけ検討しろとかマジで目が回りそうな状況に右往左往してる間、ただブルブル鳴り続けるポケットのスマホ。通知設定を切る余裕すら無かったもんなぁ。
ゲッソリして夜中に確認したら1日で数万PV稼いでました。が、その時感じたのは嬉しいという感情では無かった気がします。そんなバズり方した人間は世界でもほとんどいないんじゃないですかねぇ。たぶん。8年経ったので笑い話です。
はてブのランキングトップにも載ったので、なんととある事業者さんから広告掲載の連絡を頂いたりもしました。「絶対続かないからメディア価値無いと思います。すみません」と丁重にお断りしましたけど。現実見てるなぁ。
ブログやってる人間として、「バズった事?ありますよ」と言ってもいい人間になったので良かったです。
90歳までに、もう1回あるか無いかでしょうねぇ多分。
お仕事のご依頼
10年間で1件だけですが、とある記事に共感したという事でとある企業の方からウェブサイトまわりの仕事を頂戴しました。
別にこちらが希望したわけではないのですが、顔合わせ無し、電話無し、メールのやりとりだけで納品までゴール。よく信頼してもらったなぁと感じます。
自分の思想が社会貢献に結びついた実感があって、すごくいい体験でした。
たまに「見てますよ」と言われる
1年に3人くらいのペースで、同僚や知人からいきなり宣告されてはわわわわと慌てる、という事が起きています。嬉しさと恥ずかしさが50:50で襲ってくるあの感情は、未だに慣れません。
そういえば先日、妻の同僚が実は見ていたという報告を受け、「お、おう…」という反応しかできませんでした。
20周年は?
続けているでしょうねぇ。90歳までやるつもりでいるので。100歳でもいいのですが。
ただ、2020年時点で既にブログはレガシーメディア感が出てしまってますし、それが2030年ともなると化石みたいな扱いになっている可能性はかなり高いです。今の我々がgeocitiesのサイトを見ているような感覚でしょうか。geocities終わったけど。
ただ私、ローコストに運用したいのと、文字情報という匿名感がちょうどいいので、ブログという形式は続けている気がします。10年後はブログという名前じゃなくなってると思いますが。
「想定読者は自分」という、どう考えてもヒットしないだろそれみたいなスタイルは変えない気がします。変えないというか、変えられないだろうという感覚が強いです。他人に向けたコンテンツを作りたくなったら多分別の場所でやるでしょう。
という事で、次の10年も宜しくお願いします。俺。
うぉぉぉおぉぉ!!
これはめでたい!!
記念コメント!!!!\(^o^)/
ありがとう!!
ブログオワコン説にもめげずお互い頑張ろう!!