ホテル・ルワンダを観た感想

ルワンダ紛争の末期、100日で100万人が虐殺されたと言われる「ルワンダ虐殺」がテーマのドキュメンタリー映画。

あらすじとしては、ルワンダ虐殺の中1200人の難民を収容しその命を助けたホテルオーナー、ポールを主人公としたストーリーという体裁をとる。
でもこの映画を見て印象付けられるのは、主人公ポールの英雄譚という側面よりも、たかだか17年前に「虐殺が行われたという事実そのもの」。

問答無用で家を焼かれ殺されていく人々、山のように積み重なる死体。「説明すりゃ分かってくれる」のは幻想。映画として撮影された映像とは言え、生理的に嫌悪感を覚えると同時に、自分が経験してきた生活との余りのギャップから、どうしても「何でこうなった」と考える。
でもこの映画を見ても、何が善で何が悪か「分からない」。
映画中にも回答は明示されない。
考えるきっかけを与えてくれる、ドキュメンタリー映画としてはそれで正解だと思う。

なお、映画として切り取られるのは一連のルワンダ紛争の一部分ということに注意。
フツ族によるツチ族に対する虐殺が描かれるが、その30年ほど前には逆も行われていたという歴史。
そもそも、もともと同一民族だったフツ族とツチ族が、ベルギーによって人為的に「別民族」とされてしまった歴史。
これらを知った上でないとこの映画の解釈が「善い/悪い」になってしまいかねない。
自分はいっしょに見ていた友人からその話を教えてもらったので良かった。
ということで、時代背景を予習してから見ることをおすすめします。

出演:ドン・チードル
監督:テリー・ジョージ