注:軽いネタバレを含みます。
嫁(に3日前なった人)の会社が、アベンジャーズ/エンドゲームの話題でもちきりであるそうだ。しかも過去作を観ておくと楽しみも倍増とのこと。
しかも今はゴールデンウィークではないか。時間は腐るほどある。ということで過去作品を1夜に1つづつ鑑賞し、そして昨日最新作「エンドゲーム」を映画館で観てきた。
ただタイトルにもあるように、私はヒーロー映画が嫌いである。
理由は、この手の映画はストーリーがたいていグダグダなので、
ツッコミポイントを探さないでいられない
からである。
嫌いというより、素直に没入できないので好きになりようがない、と言う方が正しいかもしれない。
これには恐らく幼少期のエンタメ体験が深ーく関係している。
私にとってファンタジーとはもっぱらRPG(特にFC〜SFCまで)によって鑑賞するものであり、そんな世界観で20年ほどエンタメに接してしまったわけなので、「極限までデフォルメされた表現」でちょうどエクスタシーに達するように脳が最適化されてしまっている。
見よ。ファミコンの情報解像度。これなら剣だ魔法だでドンパチやっても差し支えない。
それを映画でやられると、まず「大の大人が何をやっているんだ。恥ずかしくないのか」という感情に始まり、次第にあまりに多い情報量の中からこぼれてくる「粗いところ」に目が行ってしまう。らしい。なお、アニメでも同じ状態に陥る。
そんな人間なので、6年前にマンオブスティールもこき下ろしてしまった。
アクション映画を全く見ない私によるマンオブスティール感想
さて時は経ち2019年、俺みたいな人間がアベンジャーズを観て無事で済むわけが無かろう、と危惧しながら第1作を観るところからはじめたわけだが。
正直、第1作(2012年)と第2作(エイジオブウルトロン/2015年)は、予想通りツッコミポイント(そのだいたいがヒーロー側の戦術の甘さだ)ばかり目が行ってしまう。特に、戦力的には最底辺に近いところにいるキャプテンアメリカがここぞという所でキリッと指揮命令を始める状況をどう解釈すればいいのか分からないところに苦しみがあった。男前だからか?
第3作(インフィニティウォー/2018年)もだいたい似たような感想ではあった…のだが、ラストの宇宙の生命が半分消失するくだりの絶望感の描き方が見事なので次作を観たくなる。
どうでもいいが、20年前くらいにアメコミを強制的に貸してくる友人のせいで「インフィニティガントレット」を読んでいたので、最初からこの結末は予想はできてはいた。最も、漫画のサノスは本当にカスみたいなやつで、映画の方が彼なりの正義が描かれていたので話に奥行きがあって良かった。
この映画の原作である漫画インフィニティガントレットの要約はこちらからどうぞ。
MCUインフィニティ・ウォー原作「インフィニティ・ガントレット」を読む!Part1 | ゲームに漫画、時々看護師
さて、件の第4作(エンドゲーム/2019年)である。
「あんだけの軍勢を率いながら生身で敵地をウロウロするサノス」、「惑星エイトリの技術で製造したはずなのにあっさりと地球の技術で再現されたガントレット」、「せっかくミョルニルは北欧神話から借用してるのに次の武器がストームブレイカー」、「スカーレットウィッチの記憶操作能力が破壊行為ばかりに使われている」、「キャプテンマーベル1人いれば他のヒーローが要らないのでは」などなど、相変わらずいちいちツッコミたくなる。
…なのだが、最後のサノス軍と全面戦争。生き返ったヒーローと地球の戦士が集結するシーンで
あれ、俺感動してるやん
と気付いてしまった。
キャプテンアメリカがミョルニルを持ち上げる瞬間も、「は?なんでやねん」と思うより先に
かっこいいぞ!キャプテン!
と思ってしまった。
その瞬間、ようやく判った。
ヒーローがヒーロー然と描かれる瞬間にエクスタシーを感じる事がヒーロー映画の楽しみ方なのだと。というか、それ以外に無いのだと。
それだけがプライオリティであり、ストーリーの細かい所は別にどうでもいいのである。
要するに、「ツッコミポイントが多い?それは分かっているが、ヒーローがかっこいいから別にいいじゃないか」ということなのである。
何故いきなり悟りモードに至ったのかよく分からないが、一連の作品鑑賞に割いてきた約10時間という時間の累積がそうさせたのかもしれない。大ーきな輪っかが壮大に結末に向けて閉じていくスケール感があった。ちなみにRPGは最低でも20時間はプレイする(最近のRPGだと20時間だとかなり短い方だ)。
「こんな当たり前のことをさも真理に気付いたように書くな」と怒られそうだが、俺にとってはこれは発見なのだからしょうがない。
人生、感動できるものが多い方が幸せに決まっている。
アベンジャーズ/エンドゲームは、ヒーロー映画の楽しみ方のヒントをくれたという意味で俺にとっては大きな作品となった。他の作品でもそうなのか分からんが。
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