1日遅れて空港に着いたけど偶然にもANAのはからいで国際線に乗れた話でもする

1ヵ月以内

1年前の話だが、結婚前の両家顔合わせのために高知へ行き、東京に戻って来たその日に成田→自宅→羽田からサンフランシスコ出張に行く、という鬼のようなスケジュールを組んでいた事があった。

顔合わせが問題無く終わったのは人生的に良かったのだが、問題は羽田に向かう途中の品川あたりで起こった。
前日から何度試してもオンラインチェックインができず「システムエラーちゃうんかいな」と舌打ちしていたところ、よーく見たら予約したのが昨日の便だった。

そらチェックインできんわ。もう飛行機飛んどるもん。というかとっくにサンフランシスコ着いとるし。

人生トップ3に入るくらいの冷や汗が出た。
ちなみにトップ1と2は、JFKから日本に帰る便の登場前に寝過ごしかけた時と、京都駅から伊丹空港に向かうシャトルバスに乗り遅れた時である。両方とも大学生の頃の話だ。

何でこんな事になったのか。
取ったのが深夜0:30発の便だったので、0:30を24:30と間違えたのでは…きっとそうに違いない!とまで考えて、そんな原因究明は今はかなりどうでもいい事に気付くまでちょっと時間がかかるくらいには正気を失っていた。

何をどうしようとターミナルに着くまで30分はかかるので、その間にまず取り得る選択肢を考えてみよう。まず何よりハッキリしている選択肢は仕事に穴を空けないように今日の便を取り直す事だ。Expediaで検索したら50万円を超えている。ビジネスかよ。案件の利益を削ってでも払うしかないのか?はわわわ!わ?と答えの出しようの無い命題を突きつけられて混乱している間に空港に着いてしまった。

救済を求めるようにANAカウンターへまっしぐら。健康な状態でも「墓掘りみたい」と形容されるくらいにはデフォルトの人相が悪い私ので、この時ばかりは「掘った墓がクライアントの依頼と違った」ような顔をしていたに違いない。それがどんな顔かは全く分からないが。

運の悪い事に、まぁまぁカウンターが混雑している。スタッフさんも忙しそうだ。
その中でたまたま客対応をしていないスタッフさんを見かけ、このチャンスを逃がすともう後は無いかもしれないという気迫で誰よりも先に声をかける。

以下で起こる事は、空席状況、タイミング、スタッフさんの裁量、あらゆる条件が良く重なったから起こった偶然であり、同じ状況の再現は恐らくANAにとっても保証できない旨をご理解ください。

結論から言うと、この御方が女神だった。

まるで相談しているのがそちらですかというくらい困ったような親身な顔つきで話を聞いて頂き、言われたのが

  • まず予約元に振り替えの依頼ができるか聞いてみてくれ
  • こちらはこちらで振り替えができるか確認してみる

という事だった。

初手からマルチタスクを提案して頂くクレバーさに、まるで一緒にチームを組んだプロジェクトメンバーのような信頼感を覚えた。チームを組んだというか、こちらはチームを組んで頂いている立場なのだが。

もちろんこんな事は冷静になった今だから思う事であって、当時はそんな事に感心する余裕は全く無い。

プロジェクトマネージャーの指示の従い、予約元であるExpediaに電話するが、「ごめん無理」と言われ撃沈。焦り指数がまたうなぎ昇る。ちなみに同一人物に対して女神とプロジェクトマネージャーを同一視したのは人生で初めてだ。

女神は確認のためカウンターに戻って姿が見えない。心の底から「人に進捗報告がしたい」と思ったのは人生で初めてだ。

その間が10秒だったか10分だったかはもはや全く分からないが、女神の姿を再び見かけた時の自分は本当に泣いていたかもしれない。

その時はまだ振り替えの確認がとれてないとの事だったが、もう少し時間を置いて神託を頂く。
「振り替えできました。」

とにかく安堵感が洪水のように押し寄せたはずだが、気持ちの上下幅が大きすぎてその時の事は全く覚えていない。

余韻に浸る暇は無く、次のタスクである事務手続きにスムーズに移行する必要がある。
チェックインや荷物の処理もそうなのだが、もともとの空路が羽田→LA→SFだった所を今回振り替えできたのが羽田からLAまでなので、LAからSFまでの便は別でとって頂くしかないとの事。手元のスマホでガシガシと予約している内に冷静になって来た。

これでようやく定刻通りサンフランシスコに行ける事が保証された。人生で一番大事なのは保証だなと思った。

自分の人相の悪いのでどれだけ伝わったかは怪しいが、ほぼ信仰に近い気持ちを女神に伝えゲートに向かう。

一緒に行く予定だった、というか、かろうじて一緒に行く事ができるようになった先輩オカダさんは余裕のラウンジ生活。既にビールが入っていた赤ら顔の彼が俺の話を聞いて「それは大変だったねぇ。はっはっは」と軽ーく笑っているのを見て、もっと事の重大さをプレゼンするスキルを身に着けないといけないと感じた。

飛行機はかなり満席。あと数席埋まってたらマジで乗れなかっただろうと思うと、また寒気が襲ってきた。

そうえば先の女神が持たせてくれたオレンジの紙、これが何なのかよく分かって無かったのだが

LAの乗り換えで並ばなくていいチケットだった模様。ただ迷惑かけただけの墓掘りをなぜこんな待遇にしてくれるのか良く分からないが、感動した。

女神のおかげで5日くらいの出張も無事クリアし、戻ってきたのは行きと違って成田。

どうしても女神にお礼が言いたい
と30分ほどカウンターを探すものの、いらっしゃらない。出勤シフトもあるだろうし、そもそも今日たまたま成田にいるとも限らんもんね。と思ったがANAのCAをやってる知人に聞いたところ、地上スタッフの方は羽田と成田でそもそも会社が異なるので、羽田にいたスタッフが成田にいる事はありえないとのこと。会社違うんかよ。知らんかった。

今度羽田で見かけたら必ず礼を言うと決心した。

羽田空港のANA国際線スタッフのイズミさん、本当にありがとうございました。