Danilo Perez&John Patitucci&Brian Bladeのライブ見てきた@ニューヨークのJazz Standard

ニューヨークに出張に行って1日くらいオフがありそうなので、「なんかイケてるライブ無いかな」と調べたらこんなギグがありました。俺はパティトゥッチのシグネチャモデルの6弦ベースを持ってるくらいなので、そら行かなあかんやろ。ということで行ってきました。
去年の出張時はマクブライドを見れたので、相当な出張運の持ち主なのかもしれません俺は。あくまでベーシスト視点で。

たしか、このトリオにウェインショーターが加わったカルテットを10年前に見に行った気がする。大阪で。フリーのようでいて楽曲のようでいて全くその境目が分からない音楽を繰り出されて、その時は「全く意味がわからん」という感想でした。

たぶん今回もそういう音楽をやるんちゃうかという予想と、とは言えあれから10年経ち自分も音楽の受け止め方が随分変わったろうという思惑とがあり、期待と不安が半々な心境でいざJazz Standardへ。

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このような出で立ち。かっこいい。

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事前のWeb予約ができなかったので並びました。ちなみに
ブライアンブレイドが普通にそこら辺をうろうろしていました。
列に並んでる俺の側をぶらーっと通ってくし。日本じゃありえねー。さすが本場ニューヨーク。

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へぇーこんなところなのね。目黒のブルースアレイに雰囲気は近いかな?
当日受付にしては、かなり見やすい場所に通してくれました。

ライブ

予想通り、どこまでが作られていてどこからが即興なのかが全く分からない、非常に曖昧だけど繊細な音楽が繰り広げられました。
一応パティトゥッチは譜面を出してはいたのですが、どこまでが譜面に書かれているのかが想像もつかん。

果たしてこれをジャズと呼ぶのか?
と演奏を聞きながら何度か考えてしまいました。
日本で「ジャズ的」と呼ばれるようなビートとしてのジャズじゃなく、即興性の深みを突き詰めるという意味でのジャズをここでやってるのは間違いない。彼らが考えるジャズの定義に挑戦してたどり着いた音楽スタイルなんだろうと思います。
まぁたぶん、本人たちはそんなこと考えてないようにも思いますが。

俺がベーシストだから余計にそう思うのかもしれませんが、バンドサウンドとしては、ピアノとドラムがバックグラウンドに居て、ベースがリード楽器のような立ち振舞をするシーンが多かったように思います。
ただそのフロントorバッキングの境目もかなり境界が曖昧な構成でした。ピアノとベースとドラムの全員が、ソロとバッキングを自在に行き来している感じ。この緩やかな緊張感は、生けるジャズジャイアントの中でも彼らしか出せない雰囲気なんじゃないかと思います。

多分10年前に見てたら「よくわからん」と思ってたような気がしますが、30こえた今になって「この雰囲気を出せること自体がとんでもなくすごい」と思えるようになりました。
そういう自分の変化にも気付けたというのもあって非常に印象的なライブでした。

ベーシスト視点で

パティトゥッチのエレキベースは、往年のヤマハのTRB-JP2とは違って、セミホロウボディの6弦ベース。これもヤマハらしい。非売品とのことですが。
死ぬほど聞き慣れたソリッドボディのTRB-JP2とはうって変わって、新ベースはかなり甘いサウンド。正直いうと、新ベースの方が好きな音です。ガリガリのフュージョンだとソリッドなサウンドの方がバンドに芯が通る気がするのですが、最近はパティトゥッチ自身がこういうサウンドが栄えるバンドを求めているような気がします。

しかしエレキ以上に感動したのが、ウッドベースのサウンド。
今までアホみたいに聞いてきたパティトゥッチのウッドベース、こちらも相当に深みをましたように思います。
エレキがホロウボディになったように、今のパティトゥッチが求めるサウンドなんでしょう。大好きなクリスチャンマクブライドの、スイング感バリバリの「重い」サウンドともまた全然違う、いいサウンドでした。

ライブ後

やっぱ日本とは違ってすぐ出てくる3人。
パティトゥッチとブライアンが自分で片付けをしている間に
ダニーロペレスは一瞬で帰っていきました。

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質問攻めに会う2人。
ブライアンブレイドは終始ニコニコしててめちゃめちゃいい奴感がにじみ出てました。

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こちらは我らがパティトゥッチ。
私は英語がからっきしできないのですが、勇気を振り絞って声をかけました。「日本から来た。ここ10年あなたのベースを使っている。今日はグレイトだった」くらいしか言えてませんが。
俺の見間違いでなかったら、だいぶ喜んでくれたようです。

あまりに舞い上がって、
一緒に写真もとってもらいました。
公開はしませんが。俺はまだミーハーだったことが分かりました。いやー緊張した。

マイク

パティトゥッチとのツーショットを撮ってくれたやつがマイクって名前で、カメラを返してくれる時に声をかけてくれて、ちょっと話をしてくれた。俺の申し訳程度の英語にも付き合ってくれるいい奴でした。
常日頃から、ジャズのいいところは世界中の人との共通の話題ができることだと思っているのですが、まさにそれを実感するハプニングに「来て良かった」とホクホクしました。

で、店を出ると
マイクとブライアンブレイドが二人で通りを歩いている
ではないか。

ブライアンは手ぶらでした。

俺の駅の方向が一緒だったためにちょっとしたストーカー状態に。「なんでやねん」と思いながらiPhoneいじりながら歩いてるとマイクがくるっと引き返して「ワオ!また会ったね(多分)」と。
ブライアンがホテルに入ったようで、彼が引き返してきたところでいした。偶然にも彼の泊まったホテルが分かってしまった…。

クソ寒い空の下、また俺の中2レベルの英会話に付き合ってくれるマイク。なんちゅーええやつ。
俺の英語が拙くてすまんねぇというと「俺の日本語よりはマシだぜ」と言ってくれました。
なんでもブロンクスの実家で、クレジットカードの印刷業をやっていること(多分)、仕事が退屈なので音楽の時間の方が増えてほしいなぁと思っていること(多分)、そしてなんとマイクもベーシストとのことで「ジョンみたいに速くなんて弾けないよねハハハ」みたいな会話をしました。

あまりにクタクタだったのと次の早朝にホテルを出ないと行けなかったのとで、俺の方からsee youしてしまったけど、時間に余裕があったら一緒に飲みたかった。
この広い世界でまた会うことは無い気もするが、お元気で。