「ワード・オブ・マウス ジャコパストリアス 魂の言葉」読んだ感想

おもしろかったです。じっくり読もうと思っていたのに1日で読み終わってしまった。

ずっと、ジャコがなんでスラップを全くやらないのかをずっと疑問に思ってたところ、Amazonレビューで「ジャコのスラップに対する見解が云々」という一説を見つけて即購入しました。そしたら実際はスラップに関する記述はほんのちょっとだけでしたが。

この本、過去のインタビューをテーマごとに再整理・再構築したものとなっています。
そしてそれらがジャコというミュージシャンを形成するにあたってどう影響したか、を分析するのが編集のテーマのようです。その点が同社から既に出版されている「ジャコパストリアスの肖像」と決定的に異なります。後者がいわば「ジャコの人生」を記述するものであったのに対し、この本は「ジャコというミュージシャン」に焦点を宛てたものと解釈できます。

「ジャコパストリアスの肖像」においてはドキュメンタリーであることが志向され、音楽活動だけでなくプライベートも含めいっさいがっさいを時系列に並べたストーリーとして編集がされていましが。対して、この本はとてもベーシスト向けという印象です。
「魂の言葉」では、いつ誰と結婚して夫婦生活がどうのこうの、と言った話はほとんど出てきません。逆に、ジャコがネックのコーティングに使った商品の名前まで判明するように楽器や機材に対してのディテールさは、「肖像」には無い要素でした。
そしてこの本書の目的を叶えるにああたり、最適な素材がインタビューだった、ということでしょう。それは正解だったと思います。

インタビューを主とする「記録」をベースとしているので、晩年の酒とドラッグまみれな日々にはほとんど触れられていません。そもそも記録が無いからでしょう。従って「肖像」よりもかなり読みやすい内容になっています。
正直「肖像」の後半で描かれるヒーローが没落していく様は読んでて生傷をえぐられるようなキツさがあるので、そういうのが見たくない人はこちらを読まれるよいかと。

自分の場合は、「肖像」と「魂の言葉」は読後感が正反対でした。
前者はどうしてもジャコが破滅した姿が焼きついてしまうのが構成上避けられないのに対し、本書は読んだ後…というよりも読んでいる最中から、音楽に対するやる気がムンムンと湧いてきます。この本を読み終わって、自分はすぐスケール練習をしました。

それは本書のテーマのおかげでジャコの努力家である部分にフォーカスが当たるようになっているからでしょう。
弦の試行錯誤に対する膨大な努力(300種類試たらしい!)、楽器のメンテナンスに対する姿勢、ポジションを覚える努力…を新たに垣間見て、どこかジャコに持っていた天然のミュージシャンという印象は綺麗に無くなり、恐ろしいほどの努力家であることを再認識しました。

最近ベースの腕がまったく上がらず、ベースを弾くのを当分辞めようかと考えていましたが、単にお前の努力が足りないだけだとガツーンと説教されたようで、返ってやる気が出ます。

自分はミュージシャンの伝記といえば他にはマイルスの自叙伝くらいしか読んだことがないのですが、少なくともこの2人は「楽器を演奏する」というフィールドではなく、「音楽を創り上げる」というレベルでものを考えている姿が非常に印象的です。

一方、自分は「ベースを弾くのが気持ちいい」くらいのモチベーションで音楽をやってるあたる、小物感を感ぜざるをえません。精進しよ。

両方とも表紙のデザインが変わってます。変更前の方が好きだったなぁ。

2011年8月6日読了

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