山野ビッグバンドジャズコンテスト2010感想(その2:運営面)

その1に続いて、山野ビッグバンドジャズコンテストの感想です。
毎年お決まりの議論、「結果は妥当なのか?」「PAはあれでいいのか?」「国立…」に加え、個人的な疑問「写真とウェブサイト」に関して自分なりの考えをまとめておきます。
事前に断って起きますが、長いです。
※かなり推測ベースの意見なので、明らかな間違い等があればコメントなりTwitterなりでお伝え頂ければと思います。

結果

2ちゃんやTwitterで散々書かれてますが、2010の結果はこうなりました。
(スペースとりすぎるので画像で。クリックしたら拡大します)

順位は妥当なのか?という議論

血気盛んな大学生の頃は、自分はいつも順位についてケチつけてる側でした。
結論から言うと、今となっては「妥当だ」という考えに落ち着いています。
ただし「ある意味で」という限定条件付きです。

入賞CDを聞いてみるとよくわかります。
トラックが1位→2位→…→10位という順位になっているので余計に分かりやすいのですが、トラックを追うごとに、少~しずつアンサンブルがバラバラになり、少しリズムにはまらない箇所が多くなったり、「ん?」と思う場面が増えてきます。
例えば著名のプロの方のCDを聞いて、「えっこんなミスするんや」という箇所が多いとちょっとげんなりしますよね。そういった場面が増えてきます。
楽曲を完璧に近く演奏する、がプロであるとすれば、やっぱり1位に近づくにつれ「プロっぽい」演奏をしています。
そういう意味で、国立はやっぱりすごい演奏能力を持っていると思います。毎年。

「会場で生で聞いた印象」と、「ライン録音」の差、
これが「結果は妥当か」という議論の温床になっているのではないでしょうか。

おそらく採点基準として、すごい盛り上がった、とか、客ウケがよかった、とか、楽しかったとか、感動したとか、ソロがかっこよかった、ベースの子が可愛かった(これ違う)、という「印象」によって左右されかねない基準よりも、コンテストとしては上述の「プロっぽい演奏」という基準を第一義に持ってきている。というか、持ってこざるを得ない、のだと思います。

自分は完全な素人ですので、どうしても会場で見た「印象」によって(やっぱ阪大は見てて気持ちええわー!、とか)順位を予想してしまいますが、審査員はやっぱりプロです。冷酷なぐらいシビアに聞いてるんだと思います。
もしかしたらミキサーからの音をイヤホンとかで聞いてるのかも知れませんが…

ただし審査員の先生も人間です。
自分の出身校や思い入れのあるバンドはやっぱり高得点をつけたくなるところでしょうが、そこはぐっと堪えて…という思いもあるんじゃないかと思っています。

だから、コンテストとして「ある意味では」妥当な審査基準なんじゃないかと。
他の評価を優先させる意見があるとすれば、だったら他のコンテストを作るべきなんだと思います。
これが「山野ビッグバンドジャズコンテストの採点基準」なんだろうと思っています。

ちなみに2009年、上記基準を念頭に入れて全バンドを聞き、順位予測をしてみたところ、かなりの確率で当たりました。
たしかピンポイントで当たったのが十数校。まぁこれはまぐれだとしても、全体傾向はかなり結果に沿ったものでした。
割といい線いってるんじゃないかと思います。

PA・音響について

やっぱり毎年問題視されるPAですが、今年はこんな意見が出ているようです。

▼PA疑問視派
山野コンテスト音響(PA)について思うことと、私はどう向かい合って来たかということ
– miggy的曲書き日記3

▼PAを悪者にするのは性急に過ぎる派
再びジャズライブの現場のPAについて考える。または学生ビッグバンドへの提言。
– music-geek

それぞれ議論のポイントが違うので両者を同じ地平で語ることはできませんし、自分は両方に共感しますが、どちらかというと2つ目の意見の方を重要視しています。
根拠は、上記ブログでも書かれている通り、「ブルーコーツ」です。
同じPAでも、ブルーコーツは学バンとは一線を画すバランスでアウトプットできている。自分が歳をとるにつれて、その凄さを感じ入る。
この差はやっぱり「中音でまずバランスをとる」という意識があるかないか、の差だと思います。

自分は大学時代、ジャズ以外をやる軽音サークルにも所属し、そこで身内ライブのPAなどに少し携わった経験があります。
プロアマ問わず、そういう経験を少しでもされた方はお分かりかと思いますが、バンド自体の出音がめちゃくちゃなバンドって、もうPAではどうすることもできないんです。
「PAしやすいバンド」「PAしにくいバンド」は、もう綺麗にバッサリ分かれます。

別に学バンに対してプロのクオリティを求めているわけじゃない。
しかし自分の現役時代のことを思い出すに、自分のバンドも他大学のバンドも含めて、中音に対する意識は低かった(というより無かった)ことから、学生側にも改善の余地はまだまだあるように思います。

しかしmiggyさんが意見されるように、現状のPAが良いとは思いません。
ソリストが吹き始めてしばらくたって慌ててマイクのボリュームを入れるという場面も散見されるし、午前と午後で音質音量が違う…なんてことも。

なので自分としては、「学バンとPAさんがもっと情報交換してほしい」
学生はPAさんに不満を持ち、PAさんはこれだから学生は…と思っているとすると、あまりに勿体無い。
まずPAさんから学生達に、「会場で実際に何をどうしているのか」を啓蒙してもらい、「学生達がどういうサウンドを出してくれたらうまくPAできるか」というポイントを共有してもらいたい。
できれば実際に山野のPAを担当されているスタッフさんが、ウェブサイト等を通じてそういった情報をバンバン公開していくのがベストと思います。
ここらへんの情報は学生にとっては、かなりブラックボックスです。正直超ありがたいはずです。

両者がちょっと情報を提供し合うこと、これが第一歩なんじゃないかと。
そしてそれぞれがもっといい音を観客に提供できるようになって欲しい、と切に願います。

ただしmiggyさんも相当労力を払われたようで、その上であのような意見なので、自分には伺いしれない深い問題があるのかもしれません。
以上、外野からの一意見でした。

国立について

もう出るなとという意見。これには賛同できません。というか冗談でもこんなことを書く神経が理解できません。
毎年1位狙ってでもやっぱり国立か…という結果を目の当たりにした人の気持ちも、分からんでもありません。
というか、OBになった自分ですら、国立が1位をとったら少し寂しい気がするのも事実です。
そもそも土俵が違う。たしかに誰かが言うように彼らはチートかも知れません。

でも1位として壇上に上がり、「このメンバーで出来て本当によかった」と泣きじゃくるコンマスの姿を見て、本人にそんなことが言えますか?
見てない人はネットにそんなことを易々と書くべきじゃない。
噂では山野はたった1週間で仕上げる、なんていう話も聞きますが、スラムダンクの山王じゃないけど、1位を取り続ける国立の現役メンバーにかかるプレッシャーは、他のバンドからしたらもう想像できないレベルだと思います。特にコンマスは。
それに打ち勝って、彼らは今年「も」優勝した、というのは本当に評価できることだと思います。
そして何より、彼らは数年にわたりずっと、聴く者を感動させる演奏をし続けているのは、ご存知の通りです。

本当に1位をとりたければ、来年がある人はもっと努力すればいい。来年が無い人は、後輩たちにその想いを100%託すべきだ。
それでも駄目な時もあるだろうと思います。
だったらその悔しさをその後の人生(就活とか)に活かして下さい。
話をでかくしすぎかも知れませんが、結果は結果。それが叶わなかったからと言って「国立出るな」では、ちょっと議論が幼すぎる気がします。
実際の関東勢の雰囲気が分からないので、すごい無責任なことを書いているかもしれませんが…

国立はもはやヒールですが、この1強をどこが崩すか、という楽しみも山野の醍醐味なんじゃないでしょうか。

写真撮影とウェブサイトについて

この問題は自分以外で議論している人を知りませんが…
本職がウェブ制作、また個人的にカメラ小僧ということもあって、思うことがあります。
カメラ撮影させてくれ!ということです。

たしか本格的に写真禁止になったのは2005年からだったと思います(2004年はバシバシ写真撮ってた記憶があるので…)。
どんな権利問題で禁止となったかは分かりません。ご存知の方がいたらご教示ください。

ただしそれにしても思うのは、公式サイトにアップされる写真のクオリティの低さです。
ここで言うクオリティとは、別に画質のことを言うわけではありません。画質は一般市民が手にするコンデジよりもまだいいものが撮れていると思います。じゃなくて、何と言うか満足度というクオリティです。単純にいい写真が少なすぎるんです。
また、この場で「いい写真」を議論するつもりはありません。
公式にアップされる写真、あれで満足した人がいったいどれだけいるのでしょうか。

山野なんて、大袈裟でなく人生の一大イベントです。
そういう思い出を、写真という形で残したいと考える人はそれこそ山のようにいます。自分もその一人です。
それが写真禁止になった代わりに提供されるのがあの程度の写真…本当に悲しい限りです。
金出せば写真買えたと思いますが、クオリティを見るにお金を出し買いたいものではありませんでした。

自分の希望は以下のとおりです。

  • まず掲載枚数を増やしてください(最低2倍)
  • このご時勢ですし、全写真1024×768サイズ以上でアップしてください
  • できれば全メンバーが写っているようにしてください
  • それが難しいようであれば、一般客による写真撮影を許可してください

多分無茶苦茶なことを言っていると思いますが、写真に対するニーズもしっかり認知して欲しいと思います。

終わりに

ということで長くなりましたが、主催者も運営もバンドも、本当にお疲れ様でした。
こんな素敵な場所を大会していくれていることに、感動的に感謝しています。そして毎年泣きます。
自分を含め不平不満を言う人がいるのは、好きだからこそもっといい大会にしたいからでしょう。
この大会を潰したくて意見している人なんて、絶対に一人もいません。

来年も行きます。