誰のためにもならないシン・ゴジラ感想文

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某広告代理店の部長さんと飲んでて「まだ見てないのかお前バカか」みたいな流れになって、連れてってもらいました。六本木ヒルズのレイトショー。深夜2時。そういえばマンオブスティールもここで見たな。
ちなみに、その部長さんは3回目とのこと。

仕事で会う人もこの話題で持ちきりだし、FacebookやTwitterで目立ってた感想ブログもわりと見ていたので、それ以上の感動も評価できないことがすでに分かっていた。
というのも、俺はそもそも軍オタでもないし、特撮が好きというわけでもないし、エヴァも興味ないし(いちおう一通りは見ている)、そもそも映画をほとんど見ないので「最近元気がなかった日本映画に!」みたいな文脈もないし。まぁ完全に死にターゲットである。

仕事仲間の一人が言ってたのだが、「周りが何回も見て盛り上がっているのを見るのがおもしろい」というのは確かに自分にも当てはまる。好きな人にとってはたぶん、俺がドラクエ4を10周クリアしてしまう感覚に近いのだろう。そういう作品を創るクリエーター魂というのに触れられた感はある。

というのもあって、個人的には1回で十分。映画としてはそれなりに面白いとは思った。

テンポは確かに良かったなぁと思う。2時間はあっという間だった。与えるべき情報の取捨選択はあんまり他で見ない精度だったように思う。と言えるほど映画を見てないのだが。序盤に比べて後半はちょっとダルい場面もあった気もする。

軍オタの知り合いに言わせると、爆発のシーンやミサイルの弾道など、極めてリアルらしい。ただ俺は実物を見たことないので「はぁそうなんですか」という感じ。

CG技術が凄いらしいところは何となく興奮した。
ただ数年前に見たマンオブスティールの方がすごいかなぁという気はする。日米で予算規模がそもそも違うらしいが、個人的にはそれは映画評価する意味では理由にならない。CG制作の現場を全く知らないので、「この予算でこのクオリティが!」という評価ができようもない。

俺が気になったのは、とにかくあらゆる場面で人間にリアルさを感じなかったところ。

一番「えー」と思ったのが、↓のシーン。
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いやいやいや。ここまで近くに寄ってくる前に逃げとくやろ普通。俺だったら絶対とっくに逃げてる。
ゴジラ上陸は2回あるが、1回目と2回目の間、1度ゴジラが東京湾に戻った後の民衆の描写は、平穏を取り戻すのがいやに早すぎた印象を持った。

蛇足だが、ゴジラがご丁寧に大通りに沿って進行していくのも「なんで?」と思った。無差別に進んで行ったほうがアンコントロールな感じが出てよかったのに。まぁいいか。

主人公の矢口にも似たような違和感を感じた。鉄人すぎ。熱血すぎ。
ヤシオリ作戦の開始を前の演説をするシーンはなかなか感動するが、このシーンに象徴されるように終始完全なヒーロー役を負った彼だが、正直「こんな奴、現実にはおらんよなぁ」と思いながら見てしまっていた。そういうこと言い始めると映画として成立しなくなるが、どうも日本の映画って主役にこういう役作りを押し付ける傾向を感じる。あんまり好きでない。この映画の評論としてこんな奴が現実にいるかいないかは関係無いのもわかるが、個人の好みでそういう見方をしてしまうのだからしょうがない。

石原さとみの英語クオリティが笑えるレベルらしい。
ここ2年英語を頑張ってるのに、わからなかった。むしろ上手いんちゃうの?くらいに思ってた。悔しい。まぁそれは置いといて、そんな役が「将来アメリカ大統領になる」とか言ってのける。リアルさが全然無いやろそれ。

首相(1人目)のキャラはブレブレだった。
序盤からずっと役立たずみたいなレッテル貼られかかられてるわりに、中盤では「自衛隊の弾を日本国民に向けるわけにいかん!」とかいう殊勝なことを言ったりする。わりと恰好のつく演出で。その後、ゴジラの攻撃で瞬死。
人間だからブレもあるよね、という見方もできるがこのキャラはオトしたいのか共感させたいのかよくわからなかった。というか、解釈が難しかった。

ストーリーの終わり方は結構好みだった。
活動停止したゴジラは日本が直面しうる不確実脅威をアイコン化したものと捉えるが、それを除去する対象としてではなく、共存する対象とした上で未来を想像させる結末。ゴジラ再発後にアメリカかどっかが問答無用で攻撃するという約束付きというあたりは、日本にとってのリスクは他外国も含むことを示唆する。気が遠くなるような制約条件を前に、どのように東京を復興するか、という途方もない未来を想像させる、いい終わらせ方だと思った。
が、一点、ゴジラの残した放射能の半減期がむっちゃ短いのは、ストーリーとして救いを与えすぎな気がした。

最後に、何をメッセージとして感じたか。
庵野秀明という監督についての情報をほとんど知らないので(エヴァ作った人ね、くらいの認識)、彼がどういう作品にしようと思ったかは全く想像もつかない。作家性を知らない。なのでただ映画から率直に感じたことを書くしかない。
それは「未曽有のクライシスに直面したとき、あなたならどう行動するか」という問いの突きつけだったのかなぁ、と思う。

ゴジラみたいな意味わからんものが東京を襲ったとき、いち市民としての俺だったらどうするか、もし為政者側にいたらどういう行動をするか。
あるいは、ゴジラが凍結されたあと、ゴジラと共存する東京に戻るという選択をするか、あるいは他の地域に移住することを選択するか。
そういうことを考えさせること自体に、この作品を見た意義を感じた。俺の場合は。なので牧教授の意図とか狙いとこはわりとどうでもよかったりする。

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