ミンサガ(ロマンシングサガ ミンストレルソング)の少し辛めの感想でも

年始に地元の友達からミンサガとアルティマニアをセットで借りて半年、ようやくクリアしましたので感想をつらつらとしたためます。
とりあえず一周クリアしただけなので、恐らく周回プレイややりこみを前提に制作された当作の真髄のほんの片鱗しか味わっていないとは思いますが、社会人となるとなかなか厳しい。ご容赦を。

中途半端さが逆に味になってしまっている演出だったり、他のゲームにない独自システムをこれでもかと詰め込んだり、3秒でライティングしました感が満載の民衆の会話だったり、後半になるほどかったるさが上がっていく雑魚戦だったりが、シリーズを通して損なわれていない点は非常に好感度が高いです。まさに「ロマサガの味」としか表現できない何かがちゃんと残っている。

褒めてるのかどうか微妙な表現をしてしまいましたが、ゲームとしての完成度は過去ナンバリングタイトルに比べてもかなり高いんじゃなかろうかと思います。俺みたいに普通の遊び方をする分には、粗いところが目に付かないようにキッチリ作ってあるなあと。

ちょっと浮いた感のあるシステム設計

収まりが良くなった分、新たに詰め込まれたシステム部分が浮いてしまったように感じてしまいました。

例えば攻撃に3種類のモード(アタック、ディフェンス、トリック)が用意されていて、それぞれ「攻撃力は上がるが素早さが下がる…」みたいな補正が付くんですが、自分は1回も変更せずに最後まで行ってしまいました。有っても無くても(普通に)ゲームやる分には支障がないっていうのは、せっかくシステム用意したのにもったいないように思います。
例えばですが、モードを変更しないと勝てないイベントを用意するみたいなフォローがあると、ゲームとしてぐっと奥行きが生まれるんじゃないかなぁと思ったり。
過去ロマサガナンバリングって、何も考えなくてもシステム(陣形とかコマンダーモードとかいろいろ)は全部通るように設計されていたような気がします。

あとは、お店にレベルが設定されているシステムとか。
売買数が増えると高いアイテムが解禁されるというシステムですが、どうせ序盤は金無いから高いアイテム買え無いし、シナリオ進めて金たまってくる頃には売買の数も増えてアイテム解禁されるので、従来のRPG通りのシナリオを進めるに従い高級なものが買えるという構造となんら変わりがないという、「これ何のため」感が。
俺にはちょっとこのシステムのミソが分からんかったです。ただ、縛りプレイでは化けそう(このシステムの裏をついた攻略法があったりしそう)な気もします。

バトル

システムの設計バランスという意味で、バトルもちょっと残念だったかなという気がします。
RPG史上の大革命だった(と俺は思っている)閃きシステムが相変わらず気持ちいいのは素晴らしいとして、サガフロンティアから導入された連携システムは、今作では存在感が薄かったような気がします。発生条件とか、繋げるコツが全然分からんかったので、狙って出す類のものじゃない=戦略に組み込めない=偶然発生すれば儲けモン、くらいにしか解釈できなかったなぁ。狙ってもないのに雑魚敵に5連携とか発生したりしちゃうんで、どうにもコントロールがしづらかったです。恐らく、ちゃんと調べれば狙って出せて低レベル攻略とかで活きるんでしょうけど。
「無足」「加撃」「奥義」といったランダム要素はただでさえ揃っているのだから、せめて連携はもうちょっと法則性が見えるように調整した方が良かったように思われました。

雑魚戦にやたらと時間がかかるのは、サガシリーズ伝家の宝刀といった感じでもはや貫禄すら漂う領域です。

まぁここまで言っといてですが、このゲームはどうやら8周させるテンションで作られているっぽいので、周回プレイに耐えられる多様性をもたせるために敢えてシステムをぶっ込んだのかもしれません。

グラフィックと世界観

グラフィックはかなり良かったと思います。個人的にはミンサガで一番評価したいところです。
背景が綺麗だとかキャラクターがかわいいとか、そういうポイントポイントもいいのですが、それ以上に作品全体に対してアートディレクションがビシバシ効いてる感が良かったです。フィールド、街、ダンジョン,ムービー、戦闘、イベント演出…それぞれの場面や異なる要素同士で絵の収まりが統一されてるのは、アートディレクター直良有祐さんの素敵な仕事だろうと勝手に推測しています。
中でも、キャラクターのポリゴン描写がポイント高いです。PS以来、ポリゴンでキャラ描写するのが大嫌いだったんですが、その理由はどのゲームのキャラも似たような表現になってしまうからでした。PS2のスペックを以て、ようやくきめ細かい=世界観に即したポリゴン描写ができるようになった感があります。

余談ですが、他にアートディレクション効いてるなぁと思った作品としては、ドラクエ8、リトルマスター(SFC版)、女神転生、ペルソナ、フロントミッションあたりがぱっと思いつきます。

音楽:バラードのイトケン

音楽は、SFC版のアレンジ(といってもメロディ作り変えてるのでかなり大胆ですが)を中心に、新曲の書き下ろしも結構あったことは気迫を感じました。ほとんどイトケン氏が担当されているようです。
イトケンはバトル音楽の人、という認知が世の中では圧倒的ですが、自分はそうではなくオーケストラの人だと思っています。本人も度々インタビューでそのようなことを言ってます。もっとも本人はたしか「バラード系」という言葉を使っていましたが。

で、今回のアレンジは、まさにそんな感じでした。
バトル曲は私の中でSFC版のイメージが強すぎるせいだと思いますが、音源の変化とアレンジの影響でちょっと心に来なくなった感が。今回の、生演奏を入れてすごい奥行きというか空気感が出たのは楽曲としてのアレンジとしては素敵なんですが、ゲームに乗せるとどうも…まだ相性がいいとは思えなかったなぁ。SFC音源の、チープだけどソリッドな感じが緊張感あって良かったと思ってしまいました。
アレンジで残念だと思ったのは特に通常戦闘で、メロディは崩して欲しくなかったなぁ。この件、SFC未経験の方はどう思われるのでしょうか。
あとミニオン戦のフラメンコ「情熱律動」、曲自体はかっこいいのですが「なぜここでフラメンコ」感が全開で、自分は素直にゲーム音楽として優れているとは思えませんでした。

逆にですが、その空気感のおかげでオーケストラ調の曲は鳥肌が立つくらい良くなったと思います。特に「テーマ曲」と「試練」の2曲。これは聞き惚れてしまいました。
イトケンはツーバスをドコドコやるより、メロディメイカーとしての側面の方が好きです。

その他細々と

  • フルボイスはやめてけれ…予算と工数を他の部分に費やしてほしい
  • ラストダンジョンで突然存在感を高めるラファエル。そんなに重要なキャラやったっけ…
  • エンディングの適当さはSFCから受け継がれていて良い
  • 攻略サイトとかアルティマニア無しでクリアできるのか?このゲーム
  • ガラハドはやっぱり瞬殺したかった

最後に

まぁいろいろ書きましたが、1.ロマサガという大作であることと、2.SFC版を何周もクリアしたということ、3. 個人的にRPGにシステムよりストーリーを求めること、で思ったことを書くとどうしても辛めになってしまいました。が、間違いなくRPGとしてのクオリティは高いです。リメイクだとしても「まさにゲームでしか味わえないエンタメ」としてRPGの最高峰なのは間違いありませんし、PS2で一番おもしろいという声が多いのも頷けます。なにより、制作者陣の作品づくりへの気迫はビンビン伝わってきたのは、自分もモノづくりしている人間として非常に感じるものがありました。
個人の好みの問題で「死ぬほど好き」というシリーズではありませんが、これからもRPG界を盛り上げる旗手として期待したいです。

クリア時の記録

こんな感じでした。

クリア時 / プレイ時間

2012年7月5日の深夜 / 32時間くらい

パーティー

ジャミル(主人公)、アイシャ、グレイ、ホーク、シフ
それぞれHP500~600くらい