音楽プレーヤーのUIの進化が、CDとか音楽の売上に影響しているのではという仮説

こんな記事が流れてきました。

実は、iPhoneのiPod(音楽)機能はあまり使われてないのでは…という話。:Blogで本を紹介しちゃいます。

論理飛躍があるような気が…

このデータだけでは「iPhoneで音楽を聴く人が少ない」ではなくて「iPhoneの普及はCDの売り上げ減をカバーできない」しか結論できないように思います。
iPhoneのiPod機能を使ってる人は少ないのは本当かもしれませんが(俺はそうは感じませんが)、少なくともそれを証明するにはデータ不足ちゃうか、というだけの話で、結論を否定する気はないのであしからず。

本題

ここから先は↑のブログとは全く関係ないのですが、そういうことを考えてたら、はっと思ったことがありまして。
最近の「CDが売れない」背景のひとつして、iTunesに代表されるミュージックプレイヤーのUIの進化も関係しているんじゃないか、ということです。

ここで言う進化とは、従来の「CDをプレイヤーに入れ替える」という作業に比べて、「楽曲のクロールがあまりに容易になった」ことを指しています。
実際に買ったCDの枚数は同じでも、体感として「手持ちの楽曲ストック数」が跳ね上がりました。
そして購買活動に必ず伴う「不満足」という感情が、数千ないしは数万曲というボリュームによって自己解消できてしまうようになった、これが我々を購買から遠ざけたのでは?という理屈です。

もう少し具体的に言ってみます。

かつて「音楽を聴く」という行為は、CDをプレイヤーに入れて、数日経ったら別のCDに代えて…を繰り返す、というものでした。
なんでCDを入れ換えるのか?
それは我々が1枚のCDから享受する「満足」を、数日もしくは数週間レベルの有限時間内で消費するからだと思います。このことをここでは便宜上「飽きる」と言うことにします。
もしかしたら「1枚のCDだけを5年間聴き続けた」という人もいるかもしれませんが、立派な変人です。レアケースとさせて頂きます。

で、「飽き」のサイクルを繰り返していると、そのうち手持ちのCDストックに対して「飽き」が蔓延してくる。自分の環境に対する「不満足度」が高くなってくる。その不満足感を解消するために新しい音楽的刺激を求める。これが「CDを買う」という行為なんじゃないかなぁと。そう思うわけです。
特に、好きなアーティストが新譜を出したり、CMで「これ好きだ!」って楽曲に出合ったりすると、その行動ハードルは異常に下がる。
で、CDを買う。

重要なのはボリュームの問題です。
例え500枚とか1000枚とかCDをストックしていたとしても、物理的に収納スペースの問題や、CDを入れ替えるという作業が持つ労力だったり「めんどくさい」という心理的ハードルなんかを考えると「実際に聴く対象」となっている楽曲の数は事実上、その1/10とか1/100とかになっていたと思うのです。

最近の音楽プレーヤーのUIは、その「聴く対象」を10倍、100倍にしました。というより、ストックしているCDと等価にしました。これは不満足度を1/10や1/100に抑制した、ということを意味します。今聴いてる曲に飽きたら、膨大なストックから今の気分に合う曲をちょちょいっと探してくればいい。
いくら大の音楽好きだからといって、5000曲とか10000曲に同時に飽きる、なんてことはたぶん無いです。
この不満足度の抑制が、CDを買うというモチベーションを下げているんではないかと。

まぁそんなことを考えたりしました。

ここから先は余談ですが…
CDが売れなくなった理由を言い切りたい人がいるっぽいですが、一言で片付けるほど単純な問題じゃないでしょこれ。
違法ダウンロードの問題とか、そもそもコンテンツのクオリティが…とか、あらゆる「今どきの音楽事情」が絡んでるはず。その中のテーマのひとつとしてプレイヤーって盲点かな、と思いまして。

すでに同じようなことを言ってる人がいたらすみません。